秋探し

秋の深まりを感じるには、人それぞれの感受性がある。景色であったり、食べものであったり、香りや肌で感じるものもある。

今秋、仕事の一環で、都内の多摩川水系秋川の上流に行ったときのこと。渓谷の近くを散策しながら、動物のフィールドサインや生息環境を確認していると、ふと葛の枯葉の中に気配を感じた。

まるまった布団のような枯葉をそっと広げると、小さな毛むくじゃらのコウモリの姿があった。コテングコウモリである。晩秋になり植物の葉が枯れてくると、昼間のねぐらとして潜り込むのだ。

これまでの調査経験から、東北地方や中部地方、北関東の山間部では確認したことがあったが、都内では初めて目にした。

こんな発見で秋の深まりを感じるようになって、どれくらい時間が経つのだろう。苦笑いしながら、コウモリを起こさないように静かにシャッターを切った。

(両生類・爬虫類、哺乳類担当 釣谷洋輔)

コテングコウモリ

コテングコウモリ

フォトエッセイ「杜のいのち」

明治神宮では、行事と境内の案内を兼ねた、月刊リーフレット「まごころ」を配布しています。境内随所に置いてあるので、参拝者の目に留まる機会も多いかと思います。そのわずか8面の質素な構成のなかに、「杜のいのち」という連載フォトエッセイがあります。

テーマは明治神宮に見られる生きものたち。写真は佐藤岳彦さん、文章は私が書いています。2014年5月から1年は昆虫を扱い、2年目の今年は両生類・爬虫類、来年は鳥の予定です。1年の12回を区切りに、一つの生物グループを紹介する企画です。

はじめは簡単な仕事だと引き受けたのですが、写真1点と原稿用紙1枚に、季節感をもたせ、明治神宮らしさを織り込むとなるとけっこう苦労します。1年目の虫は季節を追って現れるものが違うのでよかったのですが、ヘビ・カエルの類はそうはいきません。一部を除けば季節と関係が低いうえ、寒くなると休眠してしまうので、彼らの出番を作りにくいのです。

そんなわけで、今月あたりからだいぶ怪しい筋書で話を作っています。ヒバカリ(ヘビの仲間・11月号掲載)は、もう野外では姿を見ることはできないので、適当なヨタ話でお茶を濁しました。12月はスッポンの予定ですが、季語は何かと突っ込まれたら、「丸鍋」と開き直るつもりでいます。

(新里達也)

月刊リーフレット「まごころ」

月刊リーフレット「まごころ」

都市河川に浸り続けて

魚類担当の川口です。本日、会社のホームページをリニューアルしました。本ブログでは、弊社スタッフのこぼれ話等々、不定期ながら更新していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
さて、私の所属する東京支社は、都心に事務所を構えていることもあって、都会の中で調査をする機会が多々あります。先日は、都内下町を流れる小河川で魚類 調査を実施しましたが、たかだか2時間ほどの調査で、アユ(写真)をはじめ20種を超える多くの魚類を確認することが出来ました。かれこれ20年ほど東京 の河川と付き合ってきた私としては、近年の河川環境の改善に伴う魚類の増加は、なんとも感慨深いものがあります。
一方で、外来種も増えているという問題もあります。金魚やいろんな色のメダカが採れるぶんにはまだかわいいほうかもしれません。先日実施した都内3河川ほどの調査では、恐ろしいことに、日本に定着している特定外来生物の5魚種をコンプリートしてしまうという偉業(悪行?)を成し遂げてしまいました。
とにもかくにも人の暮らしに翻弄され続ける都市河川。今後も長く浸り続けていきたいと思います。

画像_アユ