顕微鏡によるおやつ観察

休憩のひととき、同僚がおやつに用意してくれたポテトチップが気になり、顕微鏡で黒い粒のひとかけらを観察してみました。観察して見えたのはこんな様子です。

トリュフの胞子の顕微鏡写真

 

右下のスケールバーが幅0.1mmの大きさですが、この特徴的な網目模様、トリュフの子のう胞子で間違いありません。
もらったおやつはトリュフのポテトチップでしたが、キノコ担当としては本当にトリュフが入っているか、調べずにはいられなかったのでした。
その後は安心しておいしくいただきました。

実は日本でもトリュフの仲間はさまざま生育しています。
いずれも地中に発生するもので、非常に見つけづらいこともあり、あまり詳しいことはわかっていないのですが、その中のひとつイボセイヨウショウロは、意外にも森林のある都市公園の遊歩道わきでも見つかっています。
散歩がてらに探してみるのもよいかもしれませんね。
私もキノコ調査でトリュフを確認種リストにあげたいな、と密かに思っているところです。

東京支社 キノコ担当

動き出す「虫」 ~二十四節気編vol.03~

3月5日からの「啓蟄(けいちつ)」は冬ごもりの虫が這い出る頃と言われてきました。

しかし、這い出てくる虫って…?どんな生きものをイメージしますか?

テントウムシ?カマキリ?チョウの幼虫?それとも昆虫類ではなくカエルやモグラ?

ひとそれぞれの感じ方なので正解なんてないのかも知れませんが、

「虫」ということで小ネタをひとつ。

 

そもそも「虫」という漢字、あまり昆虫のカタチに似ていないと思いませんか?

そこで「虫」のルーツを探ってみると、まったく別の生きものにたどり着きました。

じつは「虫」という字は、ヘビをかたどった象形文字で、特に頭の大きい毒ヘビを意味していたようです。

そう言われれば、とぐろを巻いた体の上に、大きな頭がのっているようにみえてきます。

なるほど、啓蟄のぽかぽかした日だまりにはヘビも這い出てくるんですね。

 

ヘビ、特に毒ヘビは一般に嫌われ者ですが、彼らも里山生態系を構成する重要な一員です。

存在を理解して、適切な距離を保っていれば、向こうから咬みついてくることはまずありません。

とてもシャイで隠れ身の術の達人ですが、もしもみつけたら少し離れて観察してみてください。

新たな発見があるかもしれません。

春の水たまりで体温をあげる「ニホンマムシ」

春の水たまりで体温をあげる「ニホンマムシ」

カメラ機種 : KONICA MINOLTA ALPHA-7 DIGITAL
露出制御モード : シャッター速度優先AE
レンズの焦点距離 : 90.00(mm)
シャッター速度 : 1/125秒
レンズF値 : F9.5
露光補正量 : EV0.0
フラッシュ : 発光禁止
ISO感度 : 100

両生類・爬虫類、哺乳類担当 釣谷洋輔

レッドデータブックの重み

魚類担当の川口です。
現在、年度末の真っ只中です。報告書作成や各種締め切りに追われるなど、とにかく忙しい時期ですが、こんな時期によく手に取るのが、環境省レッドデータブックです。

およそ1年前に発行された最新版である「レッドデータブック2014 4汽水・淡水魚類」は、思わず仕事も忘れて読みふけってしまうほどの充実した内容ですが、何よりも発行時に驚いたのはその厚さと重さです。
そこで、試しにこれまで発行されている各年代のレッドデータブック(汽水・淡水魚類)の重量を、ふだん生物の体重測定に使用しているはかりで計量してみました。すると、なんと発行年にぴったり比例して重量が増していることがわかりました(下図)。
このペースで行くと2031年には2kgを超えてしまいますが、年を追うごとに重くなるレッドデータブックをみると、日本の淡水魚の将来がいかに危機的な状況であるかということが感じられ、なんとも暗い気持ちになってしまいます。

はたしてこの先、レッドデータブックが軽くなる日は来るのでしょうか?
レッドデータブックを軽くすることは、われわれ生物技術者に課せられた責務として重く受け止め、日々の業務に取り組んでいきたいと思います。
(ていうか、こんなことして遊んでないで、ちゃんと仕事に集中します。。。)

環境省レッドデータブック(汽水・淡水魚編)の重さの推移

図 環境省レッドデータブック(汽水・淡水魚編)の重さの推移

「産卵」はじめました ~二十四節気編vol.02~

関東地方ではすでに春一番も吹き抜けた今日この頃。

2月19日から3月4日は雪が雨に変わり、氷が融けて水になるという

「雨水(うすい)」という節気に入りました。

とは言え、まだまだ寒いし、生きものたちが本格的に動き出す次の節気

「啓蟄(けいちつ)」までは約半月あります。

そんな燻りだした春の気配に、いち早く動き出す生きものがいます。

千葉県北西部の谷津田では、ニホンアカガエルの産卵が始まりました。

産卵は主に夜間に行われます。

ニホンアカガエルのオスは他のカエルのように大きな声で鳴くための袋、

鳴嚢(めいのう)を持っていません。

実に控えめに、速いテンポで「くゅくゅくゅくゅくゅくゅっっ・・・」

と(私には)聞こえる声で必死にアピールします。

30メートルも離れると、そのラブソングはほとんど聞こえません。

そうしてオスとメスが出会うと翌朝には、水田や水たまりに卵(らん)塊(かい)とよばれる

アカガエルの卵(next generation)が出現するのです。

産卵後は、オスとメスが交代で卵が孵化するまで温かく見守る・・・

ようなことはせず、まだ寒いので本格的な春まで二度寝をします。

ひと仕事終わったら、「春眠暁を覚えず」ってことですね。

ニホンアカガエル_産卵01

「ニホンアカガエルの産卵」※写真右は産んで少し経った卵塊

 

カメラ機種 : NIKON D600

露出制御モード : マニュアル

レンズの焦点距離 : 105.00(mm)

シャッター速度 : 1/100秒

レンズF値 : F16.0

露光補正量 : EV0.0

フラッシュ : 強制発光・リターン不検出

ISO感度 : 100

両生類・爬虫類、哺乳類担当 釣谷洋輔

 

「節気とは」 ~二十四節気編vol.01~

「二十四節気」という言葉は時々、ニュースの気象情報などで耳にしますが、どういう意味なのでしょうか?
「二十四節気(にじゅうしせっき)は、1太陽年を日数(平気法)あるいは太陽の黄道上の視位置(定気法)によって24等分し、その分割点を含む日に季節を表す名称を付したもの。」(ウィキペディア参照)
簡単にいうと、春夏秋冬のように季節についた名前です。
最初の1日だけのことを言うのではないことをおぼえておいてください。
環境調査を行っていると、四季より細かく分割した季節のうつろいを感じることができます。
条件は年や地域、標高によって前後することも多々ありますが、それらを予測・考慮して最適な時期に調査を設定することも、我々の重要な提案事項のひとつです。
因みに今年の「立春(りっしゅん)」は2月4日~18日の間、節気のうえでは春になりましたが、越冬に飛来したハクチョウたちももう少し、翼を休めたいそうです。

 

コハクチョウ

コハクチョウ

オオハクチョウ

オオハクチョウ

両生類・爬虫類、哺乳類担当 釣谷洋輔

寒波と生きもの調査

寒風の候、皆様いかがお過ごしでしょうか。

都心では、予報どおりの暖冬傾向ですが、時々急激に冷え込んだり、ドカ雪が降ったりと、エルニーニョ現象の煽りをもろにくらっていますね。

さて、弊社の業務は屋外での生物調査が主であることは、以前からお伝えしているとおりですが、先日までのような寒波が襲来していても、大雪による立ち往生などの危険がなければ外での調査は実施されます。

画像は、先日、日本列島を襲った寒波が来ていた時、調査を実施していた際に撮影したものです。

車内の温度計

車の温度計が示した数字に驚愕!

一晩、車内に放置したコーヒーが、凍っていました

一晩、車内に放置したコーヒーが、凍っていました。気温から見れば当然ではあるのですが・・。

 

本州中部でこんなに冷え込むなんて思いもしませんでしたが、普段からの備えにより調査中はまったく問題なく、むしろ調査終了後、防寒着を脱いで過ごしていた宿泊先のほうが体感的によっぽど寒かったです・・・。

この仕事をしていると自然と触れ合う機会が多く、いろんなつらいこと、楽しいことにめぐりあいますが、そうした中での気づきや知見を発信していけたらよいと思っています。

東京支社 鳥類担当

川べりにて

水生生物担当の川口です。

底生動物調査は、川べりにじっとうずくまって、ひたすら川虫などの生物をピンセットでつまんで採集するという、わりと地味な作業が続きます。

この日は、あまりにもじっとうずくまって作業をしていたためか、完全に警戒心を解いたコサギが目の前で餌をついばんでいました。

ピンセットさばきは、僕の方が上かもしれません。

(川口貴光)

「この冬いちばんの寒さ」の朝に

冬になると、植物の現地調査は少なくなり、データ整理や報告書作成など、パソコンの前でじっくり作業することが多くなります。

そんななか、久しぶりに千葉の郊外で現地調査があり、とても楽しみにしていたところ、「この冬いちばんの寒さ」の日に当たってしまいました。

霜が降りて、顔面が凍りつきそうになりながら、「ついてないなあ・・」と、自転車を走らせていると、朝日に照らされた、美しいフワフワを発見しました。

霜の溶けた水滴がきらきらと光って宝石のよう。

「キラキラ×フワフワ」は、女の子が大好きな最強コラボレーション!(と思うのは私だけではないはず・・)

こんな風景は、朝早く起きて、霜が降りているからこそ出会えるもの。新宿・神楽坂のオフィス周辺では、まずお目にかかれません。

「やったね!ラッキー」とばかりに、下がり気味のテンションが再び上がるのでした。

ちなみに、このフワフワの正体は、チガヤというイネ科植物の穂(花序)です。(もう種になっています)

通常ならば、初夏に開花・結実し、青々とした風景の中で銀色の穂を揺らすのですが、このチガヤは、おそらく秋の草刈りが引き金となって、こんな時期に開花してしまったのでしょう。

こうした時期はずれの開花を、「狂い咲き」といいます。花芽が準備できている時期に、葉を切り取られると、慌てて葉を出そうとして、一緒に準備されていた花も同時に咲かせてしまうのです。ツツジやサクラなどでもよく見られる現象です。虫に葉を食い尽くされるほか、人間が葉を取ってしまうのも原因なので、「狂い」なんて失礼だけど、ぴったりな表現だなあ、なんて思っています。

雫が朝日に照らされてきらきら光るチガヤの穂

(中村麻祐子)

真冬に蛾の調査

昆虫は自分では体温調節ができない変温動物だから、木々の葉が落ちて冬が到来すると、おおかたの種類は休眠に入り、野外から姿を消してしまいます。だいたい冬に活動する虫というのは、あまり聞いたことはないでしょう。

でも、そんな天の邪鬼が必ずいるもので、この冬の寒い季節にだけ好んで成虫が現れるものもいます。その理由は、天敵の少ない季節をあえて選んでいるとか、冷涼な気候の土地が起源であるとかいわれていますが、どうもまだ定説はないようです。

こうした冬に現れる昆虫の代表格は、蛾のキリガとフユシャクです。11月半ばから3月末までの冬枯れの雑木林に、季節を追って様々な種類が見られます。明治神宮でも、2013年春までの調査で、このキリガとフユシャクはそれぞれ14種と13種が記録されています。

この仲間はほかの蛾のようにあまり灯りには飛んできません。それではどうやって見つけるのか。陽の落ちた暗い林の中を飛び回る蛾を、ヘッドランプの灯りをたよりに捕虫網ですくいとるほか、キリガの仲間は、木の幹に糖蜜を塗っておくと、そこにたくさん集まってきます。

この糖蜜のブレンドには秘伝があるようですが、黒砂糖・酒・酢の3点は欠かせません。明治神宮の調査の際に、ただの思いつきから、配合する酢を中国産黒酢に代えたところ、非常に良い成績を挙げることができました。

キリガが糖蜜に飛来するのは日没直後からで、その後1時間ほどでピークを迎えます。私の経験では、気温が下がるせいなのか、日没後2時間を過ぎると急に飛来が少なくなります。その後も飛来すると思うのですが、早上がりの癖があるのでまだ確認していません。

真冬の蛾類調査風景

画像は、昨年12月10日に実施しした、明治神宮の杜の蛾類調査風景です。この日はなぜか、蛾の飛来があまり多くありませんでした。

画像は明治神宮の一昨年の同時期のもの。中国産黒酢の糖蜜にたくさんのキリガが集まっています。

もう一つの画像は同じ明治神宮ですが、昨年の同時期のもの。中国産黒酢の糖蜜にたくさんのキリガが集まっています。

(新里達也)