りょうはほのき【文月・葉月】

先月は更新ができず、すみませんでした。今月は2ヶ月分まとめての投稿になります。

今年の夏は7月の日照不足に続いて、8月上旬の酷暑。そして台風シーズンに突入と、今後が心配です。
さて、そんな8月上旬のとある日曜日に弊社で「サイエンスカフェ」を開催しました。
「サイエンスカフェ」とは、カフェのような雰囲気の中で科学について語り合うというもので、1997年頃イギリスとフランスで同時発生的に行われたのが起源とされます。
今回のイベントは、私が大学生時代に参加していた「ヤクザル調査隊」が主催する30周年記念事業の一環です。
※詳しくはヤクザル調査隊30thのHP(http://yakuzaru.php.xdomain.jp/30th/slide.html)にて

内容については、今夏ヤクザル調査に参加する若者や、調査隊へのクラウドファンディング支援者の方に向けたもので、参加者はなんと24名。ぎちぎちですが弊社のセミナールームを会場に提供しました。
調査隊OBで鎌倉女子大学講師の早石氏による「屋久島のニホンザルの生態について」と、私が「調査を仕事にしてみたら」という2本立てのお話しを中心に座談会を行いました。

サイエンスカフェのようす1

屋久島のニホンザルの生態や調査隊の変遷について語る早石氏。さすがに教鞭を取っているだけあって進行が上手で、笑いあり脱線あり、終始和やかな雰囲気でイベントは進みました。

サイエンスカフェのようす2

私も学生時代から今の仕事に至るまでに、生きものに関わる様々な活動をしてきたことや悩んだこと、そして今どんな仕事をしているか、またこの仕事のやりがいや難しいところなどを自分なりの視点でお話しさせてもらいました。
プレゼンが一通り終わった後に、参加者の方から質問やご意見をうかがい、ざっくばらんなイベントになりました。
まだまだ一般の方々には認識の薄い、我々の仕事について知って頂くよい機会になったと思います。
また、将来について悩んでいる学生には進路の一例として、少しは指針になったのではないかと考えています。
私としてもイベントを通じて、自分の仕事を客観的に見直すことができました。
これからは、このような機会を利用して外側へ向かって発信していくことも重要であると感じた夏の一日でした。

両生類・爬虫類、哺乳類担当 釣谷洋輔

りょうはほのき【水無月】

日本では緑色のことを青という。
「目には青葉、山ほととぎす、初がつお」この句のように、新緑も青葉といいますね。
信号も緑色なのに青信号、野菜も緑色なのに青菜と呼びます。
これは古来の「青」という概念には緑色も含まれていたことに因んでいるようです。
緑色のカエルのことを青蛙とも言います。しかし、紛らわしいことにアオガエル科ではない緑色のカエルもいます。
他の調査員や、地元の方に「緑色のカエルをみたよ。」と情報をもらっても、困ってしまう時があります。
雨の多いこの時期、カエルを見かけることも増えてきました。そこで今回は緑色のカエルについて整理してみましょう。
最も個体数が多く、人目に付きやすいのは、ニホンアマガエル(アマガエル科)。大きさは3~4cmほど。

ニホンアマガエル(北海道)

ニホンアマガエル(北海道)

 

水田の周りに生息しているので、一度はみたことがあると思います。特徴は耳から目と鼻にかけて黒い筋があることです。
続いて、シュレーゲルアオガエル(アオガエル科)。大きさは4~5cmほど。

シュレーゲルアオガエル(千葉県)

シュレーゲルアオガエル(千葉県)

 

体の大きさや色、指先に吸盤があるなど特徴がニホンアマガエルと似ており、よく間違われますが、こちらは目と鼻の間に黒い筋はありません。希に背中に黄色い小斑点が入る個体もいます。
このシュレーゲルアオガエルを一回り大きくしたのが、モリアオガエル(アオガエル科)です。大きさは5~8cmほど。

モリアオガエル(岩手県)

モリアオガエル(岩手県)

 

おもに樹林に囲まれた池などに生息し、樹上に泡状の卵塊を産み付けることで有名ですが、水田などでも時々産卵します。
黒目の周りの虹彩という部分が、赤みがかっているのが特徴です。よく木に登るため、腕が太く吸盤も大きいです。
体色は地域などによって差が大きく、全身に褐色の斑紋が入る個体もいます。

モリアオガエル(千葉県)

モリアオガエル(千葉県)

 

その他、基本は褐色系のアカガエルの仲間でも個体によっては緑色にみえるカエルがいます。
トウキョウダルマガエル(アカガエル科)。大きさは4~8cmほどで、おもに関東周辺に分布しています。

トウキョウダルマガエル(千葉県)

トウキョウダルマガエル(千葉県)

 

トノサマガエル(アカガエル科)。大きさは4~9cmほどで、関東平野以外の本州に広く分布しています。

トノサマガエル(長野県)

トノサマガエル(長野県)

 

これらのカエルは水田や池、水路近くの草むらなどにいて、近づくとすぐに水に飛び込んで逃げるので、姿がよく見えず「緑色だった!」という印象だけが残りやすい種類です。
一方、ニホンアマガエル、シュレーゲルアオガエル、モリアオガエルの3種類は、日中は葉っぱの上や枝先でじっとしていることが多いので、みかけた環境や状況なども、カエルの種類を調べるうえで大事な情報になってきます。
あなたの周りの緑のカエルは本当に青蛙?それとも・・・。

両生類・爬虫類、哺乳類担当 釣谷洋輔

 

調査員の休日(川遊び編)

現在、弊社では「働き方改革」に積極的に取り組んでいます。休日をしっかりとることは、本来の業務を充実して遂行するためにも、非常に大切なことです。
しかし、せっかくの休日なのに、仕事の時と同じようなフィールドに思わず出てしまうのは、我々調査屋の悲しい性なのかもしれません。

今回は、先日の10連休の最中に、関東の某河川に川遊びに行った調査員の休日の様子をリポートします。(もちろん内水面漁業調整規則を遵守して遊んでいます。)

川に到着後、間髪入れずに、みんなでガサガサ開始。
採集風景1

小3の彼は今回の最年少参加者。将来が楽しみな逸材です。
採集風景2

何が採れたかな?
採集風景3

お遊びのはずなのに、職業病のせいか短時間でもこれくらい採れてしまいます。でも報告書を書く必要がないので、「計測が大変だー」とか考える心配はありません。
採集成果

早速、採れた魚を観察。これはオヤニラミです。採れるとテンションがあがる魚ですが、関東では困ったことに国内外来種です。
オヤニラミ

こちらも採れるとうれしい魚のアカザ。これも残念ながら国内外来種です。
アカザ

黒のラインが最高にかっこいいムギツク。う~ん。これも国内外来種。
ムギツク

やはり国内外来種のカワヨシノボリ。ものすごい数がいました。関東ではニッチが空いているためなのか、いくつかの河川ではすごく増えているような気がします。生態系への影響が心配です。(でも、きれいな魚ですね。)
カワヨシノボリ

ちゃんと在来種もいました。武蔵野の自然を代表するすばらしい魚、ムサシノジュズカケハゼです。婚姻色の黄色の帯がなんともステキです。こういう魚が採れると安心します。
ムサシノジュズカケハゼ

これはコシボソヤンマのヤゴ。警戒するとシャチホコのようになります。
コシボソヤンマ(ヤゴ)

カジカガエルも美しい声で鳴いていました。
カジカガエル

観察した生きものは、最後に大切に川に戻しました。(外来種については悩ましいところでもあるのですが。。。)
採った生きものを放流

<おまけ>野外で食べたご飯の味も最高でした。
みんなでお昼ご飯

以上、参加者は社員とその家族など総勢6名。とても有意義な休日を過ごすことができました。
さて、休日が終わったら、本業の魚類調査が始まります。

文責:BIOさかな部

りょうはほのき【皐月】

生きものの名前というのは、人間が勝手につけたものです。
沢山の生きものを、色々な国の人がそれぞれの国の言葉で呼んでいます。日本にも「標準和名」というものがありますが、これは外国の人には伝わりません。
そこで特定の生きものを世界共通の呼び名で統一するために、「学名」というものが存在します。そして、「学名」や「標準和名」は分類の研究によって、変化していきます。
生物分類学は時代の技術や研究者の考え方によって、ひとつの種にまとまったり、分化したりを繰り返してきました。
現段階の荷物整理で、段ボールの中の荷物ひとつひとつに名前をつけているようなものです。50年後、100年後にはまた違う整理がなされているかもしれません。
例えば、今から10年ほど前までは、日本のハコネサンショウウオは東北地方から中国・四国地方まで分布するOnychodactylus japonicusという学名の1種のみでした。
しかし、分類の研究が進むにつれて、2019年5月現在では、以下の6種にまで分かれました。

ハコネサンショウウオ属リスト

※「日本産爬虫両生類標準和名」(2019年、日本爬虫両棲類学会)に準拠。

それぞれに分布域や外部形態、遺伝的な違いなどが認められ、比較的最近になって種として分化しました。
今後もさらに分かれていくかもしれません。
上記のハコネサンショウウオ属はいずれも主に山地の渓流およびその周辺の森林に生息するサンショウウオで、土壌動物や小型の昆虫類・クモ類などを捕食します。普段は石や落葉、倒木の下などに身を隠しながら生活しています。
驚くべき事に成体には肺がなく、皮膚呼吸のみで生活しているため、乾燥にはとても弱い両生類です。
卵から幼生そして成体になるまでは約3年間水中で過ごすため、生息している渓流では一年中幼生がみられます。

今回はゴールデンウィーク中に、まだみたことがないツクバハコネサンショウウオを探しに行ってきました。
和名には2つ地名が入っていて分かりにくいのですが、筑波山の周辺にのみ生息している箱根山椒魚ということです。
特に分布域が狭いうえ、砂防事業による生息地の乾燥化や林道による分断・消失、また愛好家や販売目的による業者の密猟などの影響が懸念されています。
2015年には国内希少野生動植物種に指定され、卵も含めて捕獲・譲渡などが原則禁止されています。
環境省レッドリストでは絶滅危惧ⅠA類、茨城県レッドリストでは絶滅危惧ⅠB類とされており、希少な部類のハコネサンショウウオです。
今回、成体は初めてみましたが、その特徴のひとつは他のハコネサンショウウオと比べて短い尻尾です。

これが、ツクバハコネサンショウウオ(茨城県)。
ツクバハコネサンショウウオ(茨城県)

そしてこれがハコネサンショウウオ(山梨県)。
ハコネサンショウウオ(山梨県)
同じような姿勢なので、やはり尻尾が短いことが分かると思います。

同じ種類と言われている生きものも、よく観察すると実は違う種類なのかもしれません。今後も両生類・爬虫類の分類から目が離せません。

両生類・爬虫類、哺乳類担当 釣谷洋輔

 

りょうはほのき【卯月】

「りょうはほ」聞き慣れない響きだと思います。漢字で書いてみると「両爬哺」。
我々の業界では、両生類、爬虫類と哺乳類の3項目をまとめた呼び方のことです。
「ほりょうは」や「ほはりょう」という言い方もできますが、「りょうはほ」という響きが個人的には好きです。
その他「小動物」と言われることもありますが、クマやシカ、オオサンショウウオは小動物ではないし・・・と思っています。
さて、私はそんな3項目を担当しているのですが、しばらくブログ投稿をサボっていたので
今月から月イチくらいでブログを書いてみることにします。
因みに、あとにつけた「のき」には「の記(きろく)」、「の季(きせつ)」、「の基(きほん)」など様々な視点を自由にくっつけられるように敢えてひらがなにしました。
4月は新年度のはじまり、色々と新しい仕事などの準備もしなくてはなりませんが、私は「りょうはほ」の業務が激化する前に毎年この時期に休暇を取ります。
いきなり休みかよ!と思われるかもしれませんが、貴重な充電期間なのです。
ここ数年、休暇で何度も訪れているのは東京から南西に遙か約1,200km。
東経129度、北緯28度に位置する海洋性亜熱帯気候の島、鹿児島県「奄美大島」。
現在、「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」は世界自然遺産候補地として検討されています。
「奄美大島」が含まれる琉球諸島は、かつて大陸や日本列島と陸続きであった時代を経て、海に没したり、再びつながったりを繰り返し、大陸や列島から侵入した生物相から独自の分化を遂げた固有種の宝庫です。
最近では、奄美大島周辺で希少なカエルやヘビなどを違法に採取し、島外へ持ち出そうとして逮捕というニュースもありました。
いくら珍しくても、美しくても、フィールドマナーや法律は絶対に守って頂きたい。
「りょうは」業界の関係者だっただけに、違法性を「知らなかった」では済まされない問題です。
世界遺産は「登録されること」がゴールではありません。
地球規模の自然環境や文化的な財産について、そのあり方や管理が全人類に託される手続きとも言えるでしょう。
私たちひとりひとりが、そういった人的な影響やモラルについても対策を考えなくてはなりません。
とはいえ、そんな違法採集者が出るほど魅力的な場所ですから、仕事を離れて島へ行っても、結局やることは同じ、ルールを守ってゆるりと「りょうはほ」探しです。

アマミノクロウサギ

夜の林道を車でゆっくりゆっくり(生きもののため、安全のため時速10km以下でお願いします!)流していると、アマミノクロウサギが出迎えてくれました。※残念ながら写真は今回のものではありません。
その他にも本州では出会えないカエルやヘビもみることができ、贅沢な時間を過ごせました。
4月は卯月と書きますが、ウサギの月と言う意味ではなく、「卯の花」の咲く頃とされています。
「卯の花」とは5~6月に咲くウツギの花のことですね。4月も過ぎれば、初夏の足音も間近です。

両生類・爬虫類、哺乳類担当 釣谷洋輔

季節月とその長さ -北海道で感じること-

こんにちは。
北海道から、初めてのブログ投稿です。

本州は、すっかり春めいている時期かと思います。皆様いかがお過ごしでしょうか。

こちら北海道では、暖冬から一転、寒さがぶり返した感じで、まだまだ初春とは言えない寒さが続いています。

さて、春がはじまろうかとしている時期なのですが、皆さんは「春の始まり」と聞くと何月を思い浮かべるでしょうか。
また、日本での「四季」は暦上(カレンダー上)で何月~何月と表すのが適当とお考えでしょうか。

本州中部出身の私は、以下のとおりの月と期間(各季節の長さ)を思い浮かべます。
春:3~5月(約3ヶ月)
夏:6~8月(約3ヶ月)
秋:9~11月(約3ヶ月)
冬:12~2月(約3ヶ月)

いかがでしょうか。
もちろん「○月の中旬から」とか、「○月の上旬まで」という表現も出来ますし、地域によっても多少の違いはあるかと思いますが、東京を始め本州に住んでいる方はおおむね賛同いただけるのではないでしょうか。

さて、こちら日本最北の大地、北海道はどうかと申しますと・・・以下のとおりでしょうか。
春:4月中旬~6月上旬(約2ヶ月)
夏:6月中旬~8月中旬(約2ヶ月半)
秋:8月下旬~11月上旬(約2ヶ月半)
冬:11月中旬~4月上旬(約5ヶ月)

札幌市内から藻岩山を望む(2019年4月10日撮影)

札幌市内から藻岩山を望む。(2019年4月10日撮影)

賛否両論ご意見はあるかと思いますが、おおむね上記のような感じかと思います。
冬が長くなる分、その他の季節が本州に比べるとかなり短くなっています。

南北に長い日本列島、実はこんなにも季節の間隔が違うんですね。
(我々の会社が対象としている生物に関しては、それはもうたくさんの違いがありますが、そこら辺の詳しいことについては、別コラムや本業に譲ることにします、苦笑)
みなさんも、自分の住んでいる地域の季節月はどうなのかな・・・?と考えてみてはいかがでしょうか。新しい発見があるかもしれません。

山の樹林は5月になるとようやく芽吹きです。(2008年5月撮影)

山の樹林は5月になるとようやく芽吹きです。(2008年5月撮影)

また、全国的な天気予報でよく使われる、暦の上で使う「立春」や「大寒」といった言葉がありますよね。それらは二十四気(1年を春夏秋冬の4つの季節に分け、さらにそれぞれを6つに分けたもの)につけた呼び名からきているもので、昔から季節を表す言葉として使われており、なかなか趣のある言葉が並びます。

しかし・・・。
そうです、これらの言葉を北海道に住みながら使うとかなりのずれを感じます。

それはそうですよね。先ほど述べたように、季節の開始時期と長さがあんなにも違うんだから当然です。

いつか、北海道版の季節を分けた24の言葉を考えてみても面白いな、と思ったりもしています。

さて、“春よ来い”と願って結ぼうと思いましたが、蛇足を一つ。

温暖化の影響か、約5ヶ月とお伝えした北海道の冬ですが、少し前は5ヶ月半くらいのイメージでした。すこしずつ、冬が短くなっているのかな・・・と感じます。
そういった地球環境の変化については弊社もしっかりと認識し、我々の行っている普段の業務の結果が、自然やそこに住む生物にとってよりやさしい人類の行動に繋がるように日々取り組んでいきたい、そう考えている今日この頃です。

札幌支社:河合

 

 

新年度

新年度がスタートしました。

忙しかった年度末を乗り越え、桜満開のなか、無事、新しい年度を迎えることができました。

写真は、会社のすぐ近くにある善國寺(神楽坂の毘沙門さま)で今朝撮影した桜です。

神楽坂毘沙門天の桜

時代は平成から令和へと変わろうとしています。

平成31年そして令和元年の環境指標生物も何卒宜しくお願いいたします。

 

環境指標生物 HP係

冬の都市公園の虫たち

2018年最後のブログ投稿です。
関東も冷え込みが厳しくなってまいりましたが、12月でもおだやかに晴れた日は活動中の昆虫やクモがちらほら目につきます。

ムラサキシジミ

ムラサキシジミ

ナカボシカメムシ

ナカボシカメムシ

これらは成虫で越冬する昆虫たちです。

冬が繁殖期の昆虫もいます。クロスジフユエダシャクは主に12月上旬ごろ、林床を飛び回る雄が目につきます。

クロスジフユエダシャク

クロスジフユエダシャク

雄は写真のようにいかにもガらしい姿ですが、雌には退化した貧弱な翅しかないので飛ぶことはできません。来年は雌の写真を上げられたらと思います。

アズチグモ

アズチグモ

アカスジキンカメムシ

アカスジキンカメムシ

ニホントビナナフシ

ニホントビナナフシ

これらの昆虫やクモは成虫で越冬できないものの、かろうじてまだ生き延びていました。運命に抗う姿…私もかくありたいです。

オオカマキリ

オオカマキリ

木に張り付いたまま、ひっそり死んでいたオオカマキリ。
ほんの数日前まで生きていたのでしょう。まだ鮮やかな緑色を保っていました。死してなお色褪せぬ姿…私もかくありたいです。

以上、12月の都内の公園からの報告でした。

文責;O田

富嶽二景

早いもので、明日で10月も終わり! 秋の調査シーズンも終盤に突入しています。

今月はブログの投稿もままならないほど忙しかったのですが、先日、現地調査に向かう道中ではきれいな富士山を眺めることができ、しばし心が癒されました。

富士山 富士山

画像は10月上旬に撮影したものですが、今頃はもう冠雪していることでしょう。

季節は晩秋から冬へと駆け足で向かっています。

(そして、現地でとり溜めたデータの整理に追われる日々がやってきます。)

東京支社:水生生物チーム

秋の風物詩

皆さんは、秋の風物詩といって何を思い浮かべるでしょうか?イチョウにカエデ、ススキ、コオロギ、赤トンボ。なかにはクリやマツタケ、月見団子などの食べ物を思い浮かべる人もいるでしょう。しかし私がここ最近、ぱっと思い浮かぶ秋の風物詩としては、金魚があげられます。

金魚というと夏の風物詩なのではと思われる方も多いのではないかと思います。確かに、ひらひらと水の中を涼しげに泳ぐその姿から、金魚は夏の風物詩として古くから親しまれています。夏の縁日などで、金魚すくいを楽しんだことがある人も多いのではないでしょうか。

そんな夏の風物詩としてあげられる金魚ですが、都市部の河川で魚類の調査をしていると、秋頃になんとなく多く確認されるようになります。おそらく夏に金魚すくいなどで楽しまれた金魚が、このくらいの時期に野外に放流されて(捨てられて)しまうためなのではないかと想像しています。我々、調査屋にとって、金魚はすっかり秋の風物詩となっています。

都内の河川で採集された金魚

都内の河川で採集された金魚

 

金魚や錦鯉、ヒメダカといった人工的に品種改良された魚類は、本来自然界には存在しないものであり、野外に放されるとその地域の生態系に悪い影響を及ぼすおそれがあります。特に近年では、品種改良された様々な色や形をしたメダカがペットショップなどで売られています。このような人工改良されたメダカが野外に放されると、在来の野生のメダカと交雑して地域固有の遺伝子が失われてしまうなど、取り返しのつかないことになります。日本魚類学会では、こうした人工改良品種を「第3の外来魚」とし、野外放流による生態系への影響を問題提起しています。(下記URLは、昨年開催された市民公開講座の要旨です。)

http://www.fish-isj.jp/event/sympohist/docs/opensympo2017_youshi.pdf

地域の生態系、ひいては生物多様性を守るため、こうした観賞魚やペットなどの飼育生物は絶対に野外に放さないようにしましょう。そして、このことをいろんな人に伝えていただければと思います。

(水生生物担当:川口)