「麦秋」 ~二十四節気編vol.08~

5月20日からは「小満(しょうまん)」という八番目の節気です。

小満の由来は、秋に種を蒔いた麦の穂が育ち、一安心(小さな満足)することから、「小満」という説が有力です。

「小満」は実った麦の収穫時期にあたることから、「麦秋(ばくしゅう)」とも呼ばれます。

別の解釈としては、江戸時代に書かれた暦に関する本には「万物 盈満(えいまん)すれば草木枝葉繁る」と記されていて、生命が満ち溢れんばかりに躍動する時期という意味にもなりました。

確かに新緑が溢れ、動物や昆虫たちも活発に動き回っています。

人間の衣替えの季節でもあり、半袖で過ごす日も増えてきました。

そんな「小満」の頃の一枚は、雨上がりの麦畑です。

東京近郊では見渡す限りの広大な麦畑はなかなかありませんが、所々に規模の小さい畑が見られます。黄金色の穂がつくまでもう少しです。

コツコツ育ててきたものが実り、収穫できるというのは嬉しいことですね。

私たちも生きものに関する知識や技術を経験としてコツコツ積み上げ、これからも研鑽して参りたいと思います。

両生類・爬虫類、哺乳類担当 釣谷洋輔

「夏」立ちぬ ~二十四節気編vol.07~

5月5日こどもの日からは「立夏」になりました。

暦のうえでは夏ですが、季節の線引きというのは人の都合もあるもので、3~5月は春と考えられることが多いと感じます。

仕事の都合上、春季の調査は概ね5月末までに行います。

従って、5月は毎年大忙しの月になります。

GWも返上して現場に入る項目も少なくありません。私もその一人でした。

そんな「立夏」の頃に撮影した写真はオオヨシキリです。

夏鳥として渡ってきたばかりのオオヨシキリたちは

枯れヨシの上やヤナギの梢に陣取ります。

目立つ場所で「ギョギョシー、ギョギョシー、ケスケスケス」と

けたたましく鳴き交わし、なわばりの確保をしている様子でした。

オオヨシキリはこの鳴き声から「行行子」とも呼ばれ、初夏の季語となっています。

「行行子 大河はしんと 流れけり」(一茶)

何気ない自然の中の静と動が表現されていると感じます。

いよいよ夏ですね。

オオヨシキリ

行行子~♪

カメラ機種 : NIKON D600

レンズ:AI AF-S Nikkor 300mm f/4D IF-ED

露出制御モード : マニュアル設定

レンズの焦点距離 : 300.00(mm)

シャッター速度 : 1/1000秒

レンズF値 : F10

露光補正量 : +1.0

フラッシュ : 発光禁止

ISO感度 : 200

両生類・爬虫類、哺乳類担当 釣谷洋輔

降る「雨」は百穀を潤す ~二十四節気編vol.06~

いよいよ春も最後の節気。

4月20日からは「穀雨」という節気になりました。

田畑の準備が整い、それに合わせて穀物の成長を助ける雨の降るころという意味合いです。

この穀雨の終盤、5月1日は「立春」から数えて88日目。

雑節の「八十八夜」にあたります。

八十八夜は春から夏に移る準備をする節目の日で、縁起のいい日とされてきました。

また、この頃から安定した気候となり、茶摘みやもみまきなどの目安とされています。

しかし、年によっては急に気温が下がって霜が降り、農作物や果樹に被害を与える

「八十八夜の忘れ霜」や「さつき寒」という言葉もあります。

暖かい雨が降れば恵み、冷たい霜が降りれば災い。

「どうか今年は天候に恵まれ、豊作になりますように・・・」と、

昔から人は天を仰ぎみて祈りを捧げてきたのではないでしょうか?

最後になりますが、

この度の熊本地震で被災された方々に、心よりお見舞い申し上げます。

一日も早い復興に何かお手伝いできればと考えています。

 

「雨の夜に」(ニホンアマガエル)

「雨の夜に」(ニホンアマガエル)

 

カメラ機種 : NIKON D600

レンズ:AF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-ED

露出制御モード : マニュアル設定

レンズの焦点距離 : 105.00(mm)

シャッター速度 : 1/200秒

レンズF値 : F16

露光補正量 : EV0.0

フラッシュ : 強制発光

ISO感度 : 100

両生類・爬虫類、哺乳類担当 釣谷洋輔

 

「清浄明潔」 ~二十四節気編vol.05~

「万物ここに至りて皆潔斎にして清明なり」

啓蟄や春分と比べると耳なじみがありませんが、

4月4日から「清明」という節気になりました。

冒頭の文言は

「全ての物に清新の気がみなぎり、すがすがしく明るく美しいころ」

という意味になります。謹んで新年度をお慶び申し上げます。

桜前線も東北地方南部まで北上し、すごしやすい気候になってきました。

年度の変わり目も重なって、生活環境が変わる時期でもあります。

そんな「清明」の頃に撮影した写真は大山千枚田です。

山の斜面に整然と織りなされた棚田にはすでに水が張られていました。

東の夜空が白んできた頃、シュレーゲルアオガエルの合唱が少し小さくなり、

遠くからトラツグミのコールが聞こえてきました。

雲間が徐々に黄金に輝き出す頃には、ウグイスやカワラヒワのソングが始まり、

キツツキ類のドラミングも加わって賑やかなオーケストラになりました。

生命感あふれる朝の澄んだ空気に、自然と心も凜としました。

弊社の社員はオンもオフもやっていることはあまり変わらないかも知れませんが、

仕事が本格的に始動して、忙しくなる前に私もリフレッシュ計画を練るとします。

清浄明潔

カメラ機種 : ILCE-6000

レンズ:E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS

露出制御モード : マニュアル設定

レンズの焦点距離 : 28.00(mm)

シャッター速度 : 1/20秒

レンズF値 : F4.5

露光補正量 : EV0.0

フラッシュ : 発光禁止

ISO感度 : 100

両生類・爬虫類、哺乳類担当 釣谷洋輔

「菜」の花 ~二十四節気編vol.04~

「春分(しゅんぶん)」は昼と夜との時間が等しくなる。本格的な春の始まり。
しかし、実際には少しズレがあって、
日本で昼と夜の時間が等しくなるのは春分の4日ほど前って知っていましたか?
生きものが1日の昼の長さ、あるいは夜の長さの変化に反応することを「光周性反応」といい、
発生、成長、繁殖などに重要な要素となります。
植物にも季節の移り変わりを知る仕組みがあり、日長の他に温度の変化で花を咲かせます。
春分を迎え、千葉県茂原市では菜の花が咲き並んでいました。
因みに菜の花とはアブラナまたはセイヨウアブラナのほか、
アブラナ科アブラナ属(カブやハクサイ、チンゲンサイなど)の黄色い花の総称です。

菜の花と言えば有名な歌曲「朧月夜」の詞の中にも、節気を楽しむヒントはあると思います。
菜の花畑に 入日薄れ(視覚)
見わたす山の端 霞ふかし(視覚)
春風そよ吹く 空を見れば(触覚・視覚)
夕月かかりて 匂い淡し(視覚・嗅覚)

里わの火影も 森の色も(視覚)
田中の小径を たどる人も(視覚)
蛙の鳴くねも 鐘の音も(聴覚)
さながら霞める 朧月夜(視覚)
情景を読み取り、表現するのに視覚や聴覚、嗅覚、触覚など
複数の感覚を組み合わせています。
意識して五感を使うと季節の移り変わりを
より繊細に感じ取れるのではないでしょうか。
私はもっぱら味覚で楽しむのが好きですが…。

菜の花の写真

Brassica rapa

カメラ機種 : ILCE-6000
レンズ:E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS
露出制御モード : マニュアル設定
レンズの焦点距離 : 50.00(mm)
シャッター速度 : 1/50秒
レンズF値 : F5.6
露光補正量 : 0/10
フラッシュ : 発光禁止
ISO感度 : 100

両生類・爬虫類、哺乳類担当 釣谷洋輔

30周年を迎えて

環境指標生物は、今から29年前の1987年3月23日に創立されました。今日、2016年3月23日より、30周年の1年が始まります。長いようで、過ぎてしまえばあっという間の30年になります。会社も人の人生も、まぁそんなものでしょうか。

もう記憶もおぼろげですが、私が29歳のときに、それまで7年間勤めた会社を辞めて創ったのがこの会社で、身内から借りた資本金300万円を元手に、東京板橋区の実家2階を事務所代わりにして仕事を始めました。創立当初から割と忙しかったと思います。同年の9月には、新宿区のマンションに小さな事務所を構え、組織も有限から株式に変わりました。

あれから幾歳月が過ぎ、事務所は主に新宿区内を転々として、神楽坂近辺に落ち着いたのが15年ほど前のことになります。過去には札幌支社、仙台支社、高松支社と手を広げましたが、現在も営業活動を続けているのは、東京と札幌だけとなります。また、30年近くにもなれば、社員の顔ぶれもだいぶ変わりました。

野生生物コンサルタント会社としては、もはや老舗と言われてもよいかもしれません。現在は中小の同業態の会社は少なくありませんが、たぶん30年超の歴史があるのは、全国でも片手の数くらいのものかと思います。そうした同業他社さんとの関係も良く、一緒に営業活動をしたり、NPO法人を運営したりしています。

30周年を迎えて、この会社は何かと聞かれると、明快な答を見つけるのは案外難しいと思います。技術力は悪いはずもなく、顧客先からの信頼も厚く、多方面の学会や業界との関係も深い。ただこれは仕事をしていくうえで最低限のことにすぎません。会社としては当たり前のことで、それを続けてきたまでのことです。

私的な話で恐縮ですが、社長の私は30年間一貫して経営者と研究者の二足の草鞋を使い分けてきました。そもそも創業動機が好きな虫の研究生活を自力で創りあげることにあったので。ときどきですが、そうした姿勢が会社文化を培ってきたのではと思うこともありますが、まさかそんなわけもないでしょう。

(新里達也)

顕微鏡によるおやつ観察

休憩のひととき、同僚がおやつに用意してくれたポテトチップが気になり、顕微鏡で黒い粒のひとかけらを観察してみました。観察して見えたのはこんな様子です。

トリュフの胞子の顕微鏡写真

 

右下のスケールバーが幅0.1mmの大きさですが、この特徴的な網目模様、トリュフの子のう胞子で間違いありません。
もらったおやつはトリュフのポテトチップでしたが、キノコ担当としては本当にトリュフが入っているか、調べずにはいられなかったのでした。
その後は安心しておいしくいただきました。

実は日本でもトリュフの仲間はさまざま生育しています。
いずれも地中に発生するもので、非常に見つけづらいこともあり、あまり詳しいことはわかっていないのですが、その中のひとつイボセイヨウショウロは、意外にも森林のある都市公園の遊歩道わきでも見つかっています。
散歩がてらに探してみるのもよいかもしれませんね。
私もキノコ調査でトリュフを確認種リストにあげたいな、と密かに思っているところです。

東京支社 キノコ担当

動き出す「虫」 ~二十四節気編vol.03~

3月5日からの「啓蟄(けいちつ)」は冬ごもりの虫が這い出る頃と言われてきました。

しかし、這い出てくる虫って…?どんな生きものをイメージしますか?

テントウムシ?カマキリ?チョウの幼虫?それとも昆虫類ではなくカエルやモグラ?

ひとそれぞれの感じ方なので正解なんてないのかも知れませんが、

「虫」ということで小ネタをひとつ。

 

そもそも「虫」という漢字、あまり昆虫のカタチに似ていないと思いませんか?

そこで「虫」のルーツを探ってみると、まったく別の生きものにたどり着きました。

じつは「虫」という字は、ヘビをかたどった象形文字で、特に頭の大きい毒ヘビを意味していたようです。

そう言われれば、とぐろを巻いた体の上に、大きな頭がのっているようにみえてきます。

なるほど、啓蟄のぽかぽかした日だまりにはヘビも這い出てくるんですね。

 

ヘビ、特に毒ヘビは一般に嫌われ者ですが、彼らも里山生態系を構成する重要な一員です。

存在を理解して、適切な距離を保っていれば、向こうから咬みついてくることはまずありません。

とてもシャイで隠れ身の術の達人ですが、もしもみつけたら少し離れて観察してみてください。

新たな発見があるかもしれません。

春の水たまりで体温をあげる「ニホンマムシ」

春の水たまりで体温をあげる「ニホンマムシ」

カメラ機種 : KONICA MINOLTA ALPHA-7 DIGITAL
露出制御モード : シャッター速度優先AE
レンズの焦点距離 : 90.00(mm)
シャッター速度 : 1/125秒
レンズF値 : F9.5
露光補正量 : EV0.0
フラッシュ : 発光禁止
ISO感度 : 100

両生類・爬虫類、哺乳類担当 釣谷洋輔

レッドデータブックの重み

魚類担当の川口です。
現在、年度末の真っ只中です。報告書作成や各種締め切りに追われるなど、とにかく忙しい時期ですが、こんな時期によく手に取るのが、環境省レッドデータブックです。

およそ1年前に発行された最新版である「レッドデータブック2014 4汽水・淡水魚類」は、思わず仕事も忘れて読みふけってしまうほどの充実した内容ですが、何よりも発行時に驚いたのはその厚さと重さです。
そこで、試しにこれまで発行されている各年代のレッドデータブック(汽水・淡水魚類)の重量を、ふだん生物の体重測定に使用しているはかりで計量してみました。すると、なんと発行年にぴったり比例して重量が増していることがわかりました(下図)。
このペースで行くと2031年には2kgを超えてしまいますが、年を追うごとに重くなるレッドデータブックをみると、日本の淡水魚の将来がいかに危機的な状況であるかということが感じられ、なんとも暗い気持ちになってしまいます。

はたしてこの先、レッドデータブックが軽くなる日は来るのでしょうか?
レッドデータブックを軽くすることは、われわれ生物技術者に課せられた責務として重く受け止め、日々の業務に取り組んでいきたいと思います。
(ていうか、こんなことして遊んでないで、ちゃんと仕事に集中します。。。)

環境省レッドデータブック(汽水・淡水魚編)の重さの推移

図 環境省レッドデータブック(汽水・淡水魚編)の重さの推移

「産卵」はじめました ~二十四節気編vol.02~

関東地方ではすでに春一番も吹き抜けた今日この頃。

2月19日から3月4日は雪が雨に変わり、氷が融けて水になるという

「雨水(うすい)」という節気に入りました。

とは言え、まだまだ寒いし、生きものたちが本格的に動き出す次の節気

「啓蟄(けいちつ)」までは約半月あります。

そんな燻りだした春の気配に、いち早く動き出す生きものがいます。

千葉県北西部の谷津田では、ニホンアカガエルの産卵が始まりました。

産卵は主に夜間に行われます。

ニホンアカガエルのオスは他のカエルのように大きな声で鳴くための袋、

鳴嚢(めいのう)を持っていません。

実に控えめに、速いテンポで「くゅくゅくゅくゅくゅくゅっっ・・・」

と(私には)聞こえる声で必死にアピールします。

30メートルも離れると、そのラブソングはほとんど聞こえません。

そうしてオスとメスが出会うと翌朝には、水田や水たまりに卵(らん)塊(かい)とよばれる

アカガエルの卵(next generation)が出現するのです。

産卵後は、オスとメスが交代で卵が孵化するまで温かく見守る・・・

ようなことはせず、まだ寒いので本格的な春まで二度寝をします。

ひと仕事終わったら、「春眠暁を覚えず」ってことですね。

ニホンアカガエル_産卵01

「ニホンアカガエルの産卵」※写真右は産んで少し経った卵塊

 

カメラ機種 : NIKON D600

露出制御モード : マニュアル

レンズの焦点距離 : 105.00(mm)

シャッター速度 : 1/100秒

レンズF値 : F16.0

露光補正量 : EV0.0

フラッシュ : 強制発光・リターン不検出

ISO感度 : 100

両生類・爬虫類、哺乳類担当 釣谷洋輔