Posted by bioindicator
ミミズは私達にとって身近な土壌動物のひとつです。我々が通常“ミミズ”と呼んでいる動物は、環形動物門Annelida貧毛綱(ミミズ綱)Oligochaetaナガミミズ目Haplotaxidaに属する大型陸生種(体長20mm以上)の総称のことを指しており、日本にはフトミミズ科Megascolecidaeなど6科が分布しています。
日本に分布するナガミミズ目の種数は500種以上に達するものと推定されています。このうち95%はフトミミズ科と考えられていますが、名前がついているものはその2割にも満たないと言われており、ミミズの同定は専門家でないと困難な状況です。
ミミズの同定には、主に外部生殖器の位置・形態、内部生殖器の位置、環帯の位置・形態等が用いられますが、ミミズの体は柔らかいため、何もしない状態だと各部位の観察がしにくく、正確な同定ができません。そこで、採取してきたサンプルは以下のように固定処理を行って観察しやすくしてから、同定するようにします。
<ミミズの固定法>
- ①生きている状態のミミズ。水で洗って泥などの汚れを落としてきれいにする。
- ②水を入れた容器にミミズを入れ、50%程度の薄いエタノールを少量ずつ注ぎ、動かなくなるまで待つ。
- ③動かなくなったミミズを、ガラス棒の間にまっすぐに並べ、ラップで隙間なく覆う。その後、10%ホルマリン液を注ぐ。
- ④動かないように重しをして一晩静置する。
一晩置いたミミズのサンプル。まっすぐに固定され観察しやすい状態になりました。
固定後は10%ホルマリン液で保存します。
皆さんも、是非、お試しください!
つづく
引用文献
青木淳一, 2015. 日本産土壌動物 分類のための図解検索【第二版】, 1969 pp. 東海大学出版部.
石塚小太郎, 2014. ミミズ図鑑, 167 pp. 全国農村教育協会.
東京支社・昆虫担当 菅谷
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