スジボソギンヤンマを採集!

ギンヤンマとクロスジギンヤンマの雑種、通称『スジボソギンヤンマ』を採集しました。

採集日は2017年9月10日、採集地は宮城県岩沼市の海岸にある池沼で、岸辺の路上を飛翔しているところをネットインしました。

一見クロスジギンヤンマに似ていますが、翅胸側面の黒色条(クロスジの形質)が細い点、頭部の額にみる黒色と青色の平行に走る斑紋(ギンの形質)とそれに垂直に交わる黒い斑紋(クロスジの形質)が混在する点、脚の腿節が褐色を帯びる点(ギンの形質)、腹部に水玉模様を持つ点(クロスジの形質)など、観察すると2種の形質がモザイク状に発現していることがわかります。

雑種ゆえに、2種の形質の発現のしかたには個体差があるようで、上記の特徴は必ずしも全てのスジボソギンヤンマに当てはまるものではないようです。どちらの親の血が濃いか、比較するのもこうした雑種個体の楽しみ方の一つではないでしょうか。

このスジボソギンヤンマですが、雄は繁殖能力を持たない一方で雌にはそれがあるらしく、種概念に対する一つの反例と捉えることができそうです。

参考文献;尾園暁・川島逸郎・二橋亮(2012)『日本のトンボ』文一総合出版.

東京支社 太田祥作