皆さんは、秋の風物詩といって何を思い浮かべるでしょうか?イチョウにカエデ、ススキ、コオロギ、赤トンボ。なかにはクリやマツタケ、月見団子などの食べ物を思い浮かべる人もいるでしょう。しかし私がここ最近、ぱっと思い浮かぶ秋の風物詩としては、金魚があげられます。
金魚というと夏の風物詩なのではと思われる方も多いのではないかと思います。確かに、ひらひらと水の中を涼しげに泳ぐその姿から、金魚は夏の風物詩として古くから親しまれています。夏の縁日などで、金魚すくいを楽しんだことがある人も多いのではないでしょうか。
そんな夏の風物詩としてあげられる金魚ですが、都市部の河川で魚類の調査をしていると、秋頃になんとなく多く確認されるようになります。おそらく夏に金魚すくいなどで楽しまれた金魚が、このくらいの時期に野外に放流されて(捨てられて)しまうためなのではないかと想像しています。我々、調査屋にとって、金魚はすっかり秋の風物詩となっています。
金魚や錦鯉、ヒメダカといった人工的に品種改良された魚類は、本来自然界には存在しないものであり、野外に放されるとその地域の生態系に悪い影響を及ぼすおそれがあります。特に近年では、品種改良された様々な色や形をしたメダカがペットショップなどで売られています。このような人工改良されたメダカが野外に放されると、在来の野生のメダカと交雑して地域固有の遺伝子が失われてしまうなど、取り返しのつかないことになります。日本魚類学会では、こうした人工改良品種を「第3の外来魚」とし、野外放流による生態系への影響を問題提起しています。(下記URLは、昨年開催された市民公開講座の要旨です。)
http://www.fish-isj.jp/event/sympohist/docs/opensympo2017_youshi.pdf
地域の生態系、ひいては生物多様性を守るため、こうした観賞魚やペットなどの飼育生物は絶対に野外に放さないようにしましょう。そして、このことをいろんな人に伝えていただければと思います。
(水生生物担当:川口)
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