九州のシダ研修会

 8月22日(土)から23日(日)にかけて、福岡県の背振山地でNPO法人野生生物調査協会主催の九州のシダ研修に参加してきましたので、遅ればせながらレポートいたします。

 今回の研修は、現役バリバリの調査者である(株)いであの金光様をはじめ、九州のフロラに詳しい方々に、現地を歩きながらシダ等を観察し、標本も採集できるという、植物屋にとってはよだれものの素晴らしいイベントなのでした。

※もちろん採集許可を得ております。

 暑さの厳しい8月中旬、しかも低山でのフィールドワークということで、熱中症に対して多少の不安もありましたが、主な観察場所が林内だったこともあり、想像していたほど過酷ではありませんでした。参加者は、暑さよりも、初めて訪れる場所で多様な植物に出会える楽しさが勝っていて、ワクワクしている印象でした。さすが皆さんフィールドワーカーですね。

 1日目は現地集合してすぐに登山開始。

スギ林内をひたすら登る参加者たち
スギ林内をひたすら登る参加者たち

 
 その後現地観察でした。種ごとの特徴や見分け方を直接教えていただきました。

ナンゴクイヌワラビ(左)とタニイヌワラビ(右)を比べている様子
ナンゴクイヌワラビ(左)とタニイヌワラビ(右)を比べている様子

 
 図鑑にある形態的特徴の記述は、押し葉標本をもとに記載されていることがほとんどで、生の植物をみても、図鑑と合わなかったりする場合もあります。それは花が咲かないシダ植物だとなおさらです。植物の特徴を言語化することは難しいことなのです。生きた植物を前にして、その土地の植物に詳しい方から解説を受けられる機会というのは、非常に貴重なのです。言語化しづらい微妙なニュアンスも理解できるのは、生の解説ならではですね。

  下山して、宿に入り、夕食をとって夜の部に移ります。

夕暮れ時ホクホク顔でシダのサンプルを携えて夕食会場に移動する参加者たち
夕暮れ時ホクホク顔でシダのサンプルを携えて夕食会場に移動する参加者たち

 
 夜には講話、標本紹介などを行っていただきました。参加者が採ったサンプルの同定会は、時間の都合で行われませんでした。残念でした。
 講話の内容はとても詳細なうえ、わかりやすく、大変有意義でした。特に雑種判定の手法については、現地でも教えて頂きましたが、改めて室内でも教えて頂きました。シダの外観だけでは雑種判断に悩む場面が少なくなかったので、悩みの一つでもありました。雑種個体がつくる胞子は、しぼんでいて不揃いになることで特徴づけられるのです。その胞子の状態を現地で迅速に確認する方法をご紹介いただき、大変勉強になりました。今後の調査でも役立てていきたいと思います。

胞子嚢をセロテープで固定させて簡易顕微鏡を使って観察する手法
胞子嚢をセロテープで固定させて簡易顕微鏡を使って観察する手法

 
 夜の部が終わった頃には22時を回っていましたが、皆さんまだ元気でした。

 2日目、朝から現地観察でした。イヌワラビの仲間を中心に観察し、雷山の山頂広場で昼食をとり、さらに観察を続け下山しました。

通ってきた尾根を見返し達成感に浸る
通ってきた尾根を見返し達成感に浸る

 その後、各自帰路につき、2日間にわたるシダ研修は無事終了いたしました。

 調査員同士の交流も生まれ、非常に有意義な良い会であったと感じております。ご案内・ご指導いただいた金光様をはじめ(株)いであの皆様、準備や進行にご協力いただいた皆さまに、心より感謝申し上げます。

植物担当:桑原