新年のごあいさつ

 明けましておめでとうございます
 新しい一年をつつがなくお迎えのこととお慶び申し上げます
 皆さまが健やかに心豊かな一年を過ごされることをお祈りします

 ご多分にもれず、年末はずいぶんとバタバタしておりました。その理由のひとつは、昨年に引き続き、一年のごあいさつにお配りする「旧暦棚田ごよみ」の編集作業です。今年は巻頭にあいさつ文を入れただけでなく、土壇場で欲を出していろいろ当社のカラーを盛り込んで頂きました。このために社内のみならず、制作もとの棚田ネットワーク様を巻き込んでの大変なドタバタでしたが、お陰様で、より当社らしいものができたと思います。

令和4年の旧暦棚田ごよみ

【旧暦棚田ごよみとは】
 すでにお手元に届いている方はご承知のとおりですが、「旧暦棚田ごよみ」は、その名の通り旧暦ベースという結構なキワモノです。どういうことかと言うと、旧正月(今年は2月1日)からスタートして、月の満ち欠けに従って月が改まるため、めくるタイミングが普通のカレンダーと異なります。また、年によっては「閏月(うるうづき)」があるほど一年の長さが違うので、立春前後の生まれの方は誕生日がない年や2回ある年があります(昨年、苦情を頂いて思い至りました)。このような感じで、もはやカレンダーとは呼べない代物かもしれません。

上段が旧暦、下段が現代の暦の日付
(令和4年版は2月1日スタート)

【旧暦という「今ではないいつか」】
 しかし考えてみると、6-7世紀頃に大陸から暦が伝わって以来、明治5年(西暦1872年)の改暦まで1,000年以上、日本人は月の暦で時を刻んできました(※1)。それがどうしたと言われそうですが、現状で誰も疑うこともなく絶対と思われている基準や価値観も、ちょっと時空を越えて俯瞰すると、それほど普遍的でなかった、と言うことはままありそうです。最近の話題で言えば、夫婦別姓然り、資本主義然りです。
 コロナ禍や気候変動を通じていま、これまで私たちが信じて疑わなかった世界の常識やルールが問われています。いたずらな懐古主義や先祖返りが現実的でないことは承知していますが、いま私たちが信じて依存している社会よりもずっと持続可能であった社会やルールから、学ぶべきことは少なくない気がしています。過去に限らず、「ここではないどこか」「今ではないいつか」へ思いを巡らすことが、私たちが直面しているさまざまな社会課題を解決する発想力を助けてくれるように思います。ちょっと大袈裟かもしれませんが、「旧暦棚田ごよみ」は、そんな祈りを皆さんと共有するためのささやかなツールのひとつと思っています。

【新年に向けた思いとごあいさつ】
 このように考えてみると、結局、しめくくりは昨年のごあいさつからあまり代わり映えがしないのですが、経済活動の主体として健全な企業であり続けることを第一としつつも、社会が直面している課題の解決に向けて、狭い世界の先入観から自由になって、私たちなりの取組を進めていきたいものだ、との思いを新たにする次第です。
 一企業の思いと力は微々たるものですが、同じ思いのさまざまな主体と手を携えていければ幸いです。改めまして、本年もどうぞよろしくお願いします。

(代表 高木圭子)

※1 日本の暦 第一章 暦の歴史(国立国会図書館)
https://www.ndl.go.jp/koyomi/chapter1/s1.html