バーチャル昆虫採集 in 武蔵野中央公園

少し前のことになりますが、10/10(日)に、武蔵野市立武蔵野ふるさと歴史館が開催する小中学生を対象とした昆虫観察会の講師を務めました。「バーチャル」という名のとおり、ただ単に昆虫を採って観察するのではなく、「BIOME(バイオーム)」(https://biome.co.jp/)というアプリを使った新感覚イベントです。「BIOME」では、投稿した生きものの写真から種名を判定したり、同アプリ内のマップ上へ生きものの写真を表示させて誰でも閲覧できるようにしたりすることができます。

「BIOME」を使った生きものの種名判定の流れを簡単に説明します。下図のように、まずは投稿したい生きものの写真を撮影します。アプリを起動して、投稿したい生きものの写真を所定の場所から選択すると、「名前を決める」という画面が現われ、種名の「判定結果」が自動で出てきます。「判定結果」の中に該当種があればそれを選択して「名前を決める」ことができますが、該当種がない場合は種名を自分で調べて直接入力する必要があります。下図の例でいうと、ナミハンミョウ(左)のような特徴的な種は、種名の判定結果が正しく出やすいですが、ナガゴミムシ属(下図右)のような雄交尾器を見なければ種の識別が難しい種は、判定結果も正しく出てこない場合が多いようです。

昆虫の標本写真から種名を判定した様子
(左:ナミハンミョウ、右:ナガゴミムシ属の一種)


以上のような流れで種名を決定し「BIOME」へ投稿した生きものの写真は、通常GPS機能を持っているため、同アプリ内のマップ上へ表示させることもでき、誰でも閲覧可能となります。そのため、自分が気になった場所でどんな生きものがみられているか、ざっくりと知ることもできるかもしれません。

観察会で観察した生きものを「BIOME」のマップ上に表示した様子


本記事から脱線してしまうのであまり触れませんが、「BIOME」には上述のような機能のほかにも、「生きもの全種コンプリート」を目指したり、アプリ上の「生きものイベント」を楽しんだり、生きものにまつわる情報交換をしたりと、様々な使い方ができるようです。

以上のように「BIOME」は便利なアプリではありますが、野外に潜んでいる昆虫そのものを「探索」するような機能は当然ながら備わっていません。そのため、昆虫に出会うためには相も変わらず、昆虫の住んでいる原っぱや藪、林の中に足を踏み入れ、五感をフル回転しなければなりません。

スマホアプリを使ってしまうとどうしてもそればかりに集中しがちになってしまいますが、いざ昆虫を見つける時間になると、みんな一斉に草へ分け入り、網を振り回したり落ち葉をめくってみたりと、思い思いの方法で「探索」を楽しんでいる様子がうかがえ、生き生きとした表情が印象的でした。

観察会の様子


観察会でみられた昆虫
(左上:ウスバキトンボ;右上:セアカヒラタゴミムシ;左下:イチモンジセセリ;右下:ベニシジミ)


やはり「自然」と接するのが一番ですね。
我々ヒトもほかの生きものと同じ。「自然」なしには生きていけないということをしみじみと感じます。

みなさんもぜひ、「BIOME」をインストールしたスマホを片手に、近所の公園へ足を運んでみてはいかがでしょうか。きっと五感がフル回転されることでしょう。ただし、不審者と思われないよう、十分お気を付けください。

昆虫類担当:菅谷