名刺が変わりました

6月の代表の交代に伴い、肩書きが変わる社員が多かったのもあり、心機一転、名刺をリニューアルしました。当社の名刺といえばおなじみの、ペットボトルから再生されたプラスチックの名刺でした。半透明の独特な質感が先代の趣味らしくスタイリッシュで、それでいて水濡れに強いことも、野外で名刺交換をする機会が多い私たちにはメリットでした。また、名刺のために新たな資源を消費しないリサイクル素材を使用したのは、いやしくも「環境」をその名に冠する会社としてのささやかな環境配慮でもありました。

プラスチックスマート※1が求められる時代
しかし時代は変わり、何にでも便利に使われるようになったプラスチックは、いまや陸海問わず地球を埋め尽くし、様々な問題が顕在化してきました。一旦自然界に放出されると、長い間分解されることがないプラスチックは、いずれ新たな地質年代区分として地層に刻まれるとまで言われています※2。もはやリサイクル素材とはいえ、その必然性ないものをプラスチックで作り続けることが環境配慮とは言えなくなってきました。

プラスチックと竹の因縁
新たな環境配慮型の素材を求め、国産の竹を紙に加工した「竹紙」を採用することにしました。

名刺

竹林はもともと、民家の裏などに植えられたもので、軽くて加工性の高い素材として、籠などの生活資材や建材、農具や漁具など、かつては生活や産業のあらゆる場面で活用されてきました。しかし、こうしたものの多くは現在ではプラスチックに置き換えられ、竹材の需要は減り、多くの竹林は管理の担い手を失いました。管理されなくなった竹林は荒廃し、周囲に広がって、生物多様性や防災に関わる様々な問題をひき起こしています。
大量生産されているプラスチックが世界中で環境問題を引き起こしている一方で、利用されなくなった竹林もまた、別の環境問題を引き起こしているのです。このような状況から、竹材の活用を見直し、紙の原料として活用したのが中越パルプ工業(株)の「竹紙」です。100%国産の竹を原料としています※3

変化に対応するしなやかな姿勢
ペットボトルのリサイクル素材を使った名刺は、私たちなりの環境配慮でした。しかし、気がつけばそれも、少し時代遅れになっていました。このように、私たちをとりまく環境問題は日々新しい情報や課題が提示され、昨日の正解が今日の不正解となることもしばしばです。大切なのは、ある時点の情報から導いた結論に固執することなく、新しい情報をとりいれて常に再検討していく柔軟な姿勢だと思います。そんな、自らへの戒めをも込めて、今回、永く親しんできたプラスチックの名刺から、新しい竹紙の名刺へとリニューアルした次第です。
この名刺をお渡しするご縁のできた方々と、日本の竹林が抱える問題と可能性について、共に考える契機になるようなことがあればとても嬉しく思います。

(代表 高木圭子)

※1 プラスチックスマートPlastics Smart(環境省)
http://plastics-smart.env.go.jp/

※2 新たな地質年代「人新世」 国際地質学会議で採用検討 南ア(AFPBBニュース)
https://www.afpbb.com/articles/-/3099134

※3 竹紙(中越パルプ工業株式会社)
http://www.chuetsu-pulp.co.jp/sustainability/activity/takegami