りょうはほのき【秋季】

気がつけば、すっかり秋になってしまいました。
動きやすくなってきた季節には近所の草むらにフィールドサイン探しに行ってみては如何でしょうか。
河川敷や谷戸に広がる草地には色々な哺乳類が住んでいます。日本最小のネズミ、カヤネズミもその一員です。
夏から冬の間に子育て時期を迎え、昼間でも草むらの中で活動していることもあります。
イネ科のヨシやオギ、ススキ、チガヤの他、湿地に生えるスゲなどに葉っぱをボール状に編んだ球巣(きゅうそう)を作ります。
水田の中のイネにも巣を作っているのを見かけたことがあります。
葉先を細かく裂いて編み込まれて作られる球巣の大きさは直径10cmほど。
巣の高さは地上付近から2m以上と様々ですが、30cm~1mくらいの間が最も多いと感じています。
あまり低く作りすぎると、地上の天敵であるイタチやキツネ、ヘビなどに見つかってしまい、高く作りすぎるとタカ類やカラス、モズなど空の天敵に見つかってしまいます。
絶妙な高さにあり、うまくカモフラージュしているので目が慣れないと見つけづらいかもしれません。
平日は仕事として探していますが、とある秋の休日にも郊外の草むらに探しに行ってみました。
カヤネズミの巣

早速ひとつ見つけました。作りたては青い葉っぱが多いですが、次第に巣材が枯れて茶色くなってきます。
夏には緑の葉っぱの中に緑のボールが見つけづらく、冬には植物が枯れて全体が茶色くなることと、茎が倒れて地上に落ちてしまうので見つけにくくなります。
探すなら、晩秋くらいがちょうど良いでしょう。ひとつ見つかると、周辺に別の巣があることが多いです。
見つけた球巣のひとつをしばらく静かに観察していると、ごそごそと巣が動いています。中にネズミがいるようです。
じっと待つこと1時間半、ようやく巣材の間から一瞬だけ顔をのぞかせました。
カヤネズミ

カヤネズミは頭胴長 54~79mm、尾長 47~91mm、体重 7~14gと本当に小さいのです。すぐに見失ってしまいました。
巣作りに関しては神経質な一面もありますが、野焼きや草刈など派手に草地の管理をされても、冬は地上付近で過ごし、また翌年には巣を作って繁殖するたくましさもあります。
とはいえ、近年は農家が利用する茅場も減少したり、放棄草地となっていたエリアが宅地化したり、乾燥化してセイタカワダチソウだらけになったりと、生息環境そのものが減少しつつあります。少しでも彼らが安心して生活できる環境が残ることを祈っています。

両生類・爬虫類、哺乳類担当 釣谷洋輔