新年明けましておめでとうございます
旧年中の格別のご厚情に深く感謝致しますとともに
皆さまのご健康とご繁栄をお祈りいたします
本年もどうぞよろしくお願いします
【旧暦棚田ごよみ】
これを書いているのは年の瀬で、一年のごあいさつにお配りする「旧暦棚田ごよみ」の発送作業がひと息ついてほっとしているところです。カレンダー代わりにお配りするようになって3年目の今年は、旧暦は「閏月」を含めた13ヶ月となっています。現代の暦に慣れた私たちからすると、平年にも増して摩訶不思議な暦となっていますが、そこも楽しんでいただければ幸いです。
この「旧暦棚田ごよみ」は一部の方には大変評判がよく、そのコンセプトやデザインをお褒めいただくことも多いです。しかし実際のところ企画・制作は当社も法人会員となっているNPO法人棚田ネットワーク様によるもので、当社はそのフンドシをお借りしているまでです。とはいえ、私もまたこの旧暦棚田ごよみの熱狂的なファンのひとりで、多くの方に知って貰いたいという思いがあります。当社版と若干異なりますがオリジナル版は棚田ネットワーク様のウェブサイトよりご購入いただくこともできますので、興味のある方はぜひお試しください(※1)。
【完新世という時代】
当社版には代表の巻頭言を掲載していますが、今年は社内での出来事から時空を飛び越えるような突飛な展開があり、面食らった方もいるかもしれません。そんなふうに思考が飛躍したのは、白状すると最近読んだ本「縄文人の植物と食べ物~縄文人は幸せだったか~」(※2)の影響です。昨今、ユートピアのようにもてはやされる縄文時代、縄文人は本当に幸せだったのかどうか、という野心的な副題に引き寄せられて手にとりました。
本書の前段では前提のお話として、地球の歴史としての考古地理学的な気候の変遷が整理されています。こういった壮大な話は、これまでも何度か聞いてきたようには思うものの、改めて聞かされるとそのスケールの大きさに圧倒されます。直近のお話だけかい摘まむと、現代を含む温暖な完新世、これが人類や現在の世界の生態系を繁栄させた時代ですが、1万年ほど続いていると言われます。そのひとつ前の更新世と呼ばれる250万年もの間は、断続的とはいえ概ね氷河期でした。完新世に対する更新世の長さもさることながら、これが45億年といわれる地球の歴史の直近250万年程度の話なのですから、現在の地球の状態がいかにうたかたの奇跡であるかを実感せずにはいられませんでした。
【縄文人は幸せだったか】
それにしても副題の「幸せだったか」というのは実に難しい問いです。実際本書を読むと、縄文時代を生き抜く、つまり餓死も凍死もしないように食料と燃料を途切れることなく調達し続け、そのなかでさらに子ども達を複数育て上げるには、現代とは比べものにならないくらいの労と生きる技術が必要であったことが分かります。当然、どこかで失敗して潰える生命も多く、むしろそれが日常であったかもしれません。
しかし、「幸せだったか」という問いに立ち返ると、幸せかどうかは「認識」の問題であることに思い至ります。もちろん、私たちが突然、身体ひとつで縄文時代に降り立ったとすれば、とても生き抜けない、つまり不幸になるでしょう。しかしそのような世界を、それしか知らない人たちがどのように認識していたかというのは難しい問題です。ただ、縄文時代にも気候変動はあり、平均気温の上昇・下降に応じて人口もドラスティックに増減していたようです。だとすれば、人口が上昇する時期は幸福が多く、人口が減少する時期は様々な不幸があったことは想像できます。
【21世紀人は、22世紀人は幸せだったか】
現代に目を移してみると、過去一世紀の間に私たち人類は爆発的といっていいほど増加しました。それは人類にとって過去何百万年も経験したことのない狂気のような幸福だったのかもしれません。しかし、2019年の国連の報告書(※3)によると、世界人口は2100年頃、110億人で頭打ちになると予測されています。頭打ち後の22世紀を生きるであろう子ども達の世を不幸にしないために、私たち21世紀人の叡智がためされているように思います。
(代表 高木圭子)
※1 令和五年旧暦棚田ごよみ(棚田ネットワーク)
https://www.tanada.or.jp/tanada_goyomi/
※3 世界人口の増大が鈍化、2050年に97億人に達した後、 2100年頃に110億人で頭打ちか(国債連合広報センター)
https://www.unic.or.jp/news_press/info/33789/
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