朝晩はめっきり寒くなり、冬の始まりを感じる頃となりました。この時期は両生類も爬虫類も見かけることが少なくなり、フィールドで少々寂しい気持ちにもなります。
そんな本土の寒さとは無縁な沖縄県で、先月、日本爬虫両生類学会が開催されました。日本の爬虫類や両生類に関する最新の研究内容が聞ける折角の機会ですし、私自身が発表のお誘いを頂いたこと、加えて沖縄県ならまだ両生類や爬虫類に出会えるだろうと考え、沖縄県まで行ってまいりました。今回は学会にかこつけて向かった沖縄遠征の模様と、日本爬虫両生類学会での感想を紹介したいと思います。
<沖縄遠征の成果は如何に>
遠征先として、友人からイボイモリがいたと聞いていた沖縄県本部半島に向かいました。私は沖縄遠征の経験があまり無く、目当てのイボイモリが見つからなくとも、本州で見られない南西諸島の種なら何でも嬉しいと、レンタカーで意気揚々と向かったのですが、 結果は全然見つかりませんでした。イボイモリどころか両生類と爬虫類どちらもほぼ見つからず、暗い森の中を懐中電灯片手に散歩するのみ。学会のスライド準備に時間がかかり、適当に当たりをつけて調査地を選んだことが良くなかったと思います。探索の最後には、辛うじてオキナワアオガエルと出会えましたが、現地調査前の下準備の重要性を強く実感する遠征となりました。
<本命の学会での感想>
遠征は残念な結果でしたが、翌日からは気を取り直して学会に参加しました。学生や研究者の方々がこれまでの研究成果を口頭やポスターで発表していくのですが、口頭発表は3会場で同時に進んでいくため、面白そうな発表が同時に行われていると、どれを聴きに行くか決めなくてはなりません。出来ることなら分身してすべて聞きたいところですが、この葛藤も学会参加の醍醐味であると思っています。新種の可能性や、新たに明らかにされた行動や生態、外見や鳴き声の違いなど興味深い発表を聴いて、純粋に面白いと感じるとともに、業務を行う上で、種を判断するための形態や鳴き声に関する知見は重要な情報でもあります。発表された新しい知見や手法をこれからの業務に活かせないか考えていると、あっという間に時間が過ぎていました。
また、私自身も企画集会で学生時代の研究について手法を主に発表させて頂きました。人前に立っての発表は久々でしたのでとても緊張しましたが、無事に発表することができました。
つい先日には、この沖縄大会で新種の可能性があると発表されていたヒメタゴガエルが新種として記載され、業務で見つけた際に見分けなければならない種がまた1種追加されました。両生類・爬虫類の分野は毎年続々と新種や新たな発見が報告されていて、新しい情報に追いつくだけでも大変ではあります。ですがその分とても面白く、勉強しがいのある分野でもあります。入社して1年、まだまだ勉強不足ではありますが、生物調査の専門家として一人前になれるようこれからも情報を日々更新していきたいと思います。
(両生類・爬虫類、哺乳類担当:勢井慎太郎)
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