りょうはほのき【卯月】

「りょうはほ」聞き慣れない響きだと思います。漢字で書いてみると「両爬哺」。
我々の業界では、両生類、爬虫類と哺乳類の3項目をまとめた呼び方のことです。
「ほりょうは」や「ほはりょう」という言い方もできますが、「りょうはほ」という響きが個人的には好きです。
その他「小動物」と言われることもありますが、クマやシカ、オオサンショウウオは小動物ではないし・・・と思っています。
さて、私はそんな3項目を担当しているのですが、しばらくブログ投稿をサボっていたので
今月から月イチくらいでブログを書いてみることにします。
因みに、あとにつけた「のき」には「の記(きろく)」、「の季(きせつ)」、「の基(きほん)」など様々な視点を自由にくっつけられるように敢えてひらがなにしました。
4月は新年度のはじまり、色々と新しい仕事などの準備もしなくてはなりませんが、私は「りょうはほ」の業務が激化する前に毎年この時期に休暇を取ります。
いきなり休みかよ!と思われるかもしれませんが、貴重な充電期間なのです。
ここ数年、休暇で何度も訪れているのは東京から南西に遙か約1,200km。
東経129度、北緯28度に位置する海洋性亜熱帯気候の島、鹿児島県「奄美大島」。
現在、「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」は世界自然遺産候補地として検討されています。
「奄美大島」が含まれる琉球諸島は、かつて大陸や日本列島と陸続きであった時代を経て、海に没したり、再びつながったりを繰り返し、大陸や列島から侵入した生物相から独自の分化を遂げた固有種の宝庫です。
最近では、奄美大島周辺で希少なカエルやヘビなどを違法に採取し、島外へ持ち出そうとして逮捕というニュースもありました。
いくら珍しくても、美しくても、フィールドマナーや法律は絶対に守って頂きたい。
「りょうは」業界の関係者だっただけに、違法性を「知らなかった」では済まされない問題です。
世界遺産は「登録されること」がゴールではありません。
地球規模の自然環境や文化的な財産について、そのあり方や管理が全人類に託される手続きとも言えるでしょう。
私たちひとりひとりが、そういった人的な影響やモラルについても対策を考えなくてはなりません。
とはいえ、そんな違法採集者が出るほど魅力的な場所ですから、仕事を離れて島へ行っても、結局やることは同じ、ルールを守ってゆるりと「りょうはほ」探しです。

アマミノクロウサギ

夜の林道を車でゆっくりゆっくり(生きもののため、安全のため時速10km以下でお願いします!)流していると、アマミノクロウサギが出迎えてくれました。※残念ながら写真は今回のものではありません。
その他にも本州では出会えないカエルやヘビもみることができ、贅沢な時間を過ごせました。
4月は卯月と書きますが、ウサギの月と言う意味ではなく、「卯の花」の咲く頃とされています。
「卯の花」とは5~6月に咲くウツギの花のことですね。4月も過ぎれば、初夏の足音も間近です。

両生類・爬虫類、哺乳類担当 釣谷洋輔