「白露」のツバメ~二十四節気編vol.15~

昼はまだ少し暑いですが、夜間はずいぶんと涼しくなりました。

この気温差によって、野の草花に朝露が宿ることから、間もなく「白露(はくろ)」という節気に入ります。

「白露」は9月7日から次の節気の「秋分」の前日までです。

今回は調査中にもよく見かける、ツバメのお話。

ツバメは関東地方では「春分」の頃(3月下旬)に南方から渡ってきます。

オスは一度作った巣の場所を覚えていて、渡ってくるとまた同じ巣に戻って、すぐに巣作り(修復)に勤しみます。

民家の軒先や、マンション、駅舎など、わざわざヒトの出入りが多い人工構造物に巣を作るのは、ヒトの影響力を利用して卵やヒナをカラスなどの外敵から守るためと考えられています。

そんなヒトの傍で子育てする狡猾なツバメたちの姿を皆さんも少なからず目にしたことがあると思います。

良いように利用されているように見えますが、実はヒトにも利益があるのです。

古くから稲作が盛んな日本では、ツバメたちが水田の上空を飛び回り、米作りの害となる虫を食べてくれます。

スズメと違って田畑に実った穀物は食べませんので、農家さんはツバメを縁起物として大事に扱うそうです。

こいうったお互い持ちつ持たれつの関係を、生きものの世界では「相利共生」といいます。

水田が少なくなった現在でも、病気を媒介するカやハエの退治など、市街地の害虫駆除にも一役買ってくれているようです。

さて、そんなツバメたちが子育てを終えて、南へ旅立とうとしています。

二十四節気をさらに3分割した七十二候、「白露」の末候では「玄鳥去(げんちょうさる)」とされています。玄鳥=ツバメのことです。

そろそろ子育てに使った巣からは離れ、旅立ちに向けて集合を始めています。

滞在期間は「春分」から「秋分」まで見事に半年。

ツバメたちはこれから秋が深まる日本を出発して、台湾やフィリピン、オーストラリアまでそれぞれに渡って行き、越冬します。

大移動と繁殖を繰り返す彼らの平均寿命は約1.5年と言われています。

来年の「春分」の頃、また元気な姿を見せてくれることを祈ります。

ツバメ

「玄鳥去」(ツバメ)

 

カメラ機種 : NIKON D600

レンズ:AI AF-S Nikkor 300mm f/4D IF-ED

露出制御モード : マニュアル設定

レンズの焦点距離 : 300.00(mm)

シャッター速度 : 1/1600秒

レンズF値 : F8.0

露光補正量 : EV0.0

フラッシュ : 発光禁止

ISO感度 : 200

トリミング:あり

両生類・爬虫類、哺乳類担当 釣谷洋輔