しめ飾りから世界を覗く

 健やかに新年を迎えられたこととお慶び申し上げます。
 本年もどうぞよろしくお願いします。

【自前のしめ飾り】
  昨年に引き続き、当社のしめ飾りは手作りです。昨年研修でお世話になった山梨県の平林の棚田からお譲りいただいた稲わらで作っています。しめ縄やわら細工は、稲わらから「わらしべ」と言われる、葉を取り除いた芯の部分だけに選り分けていく作業に時間がかかるものの、細工自体は慣れてしまうとかなりのスピードでできるそうです(製作者談)。

当社入口に飾ったしめ飾り
鶴と亀を付けました
当社入口に飾ったしめ飾り 鶴と亀を付けました

 

【しめ縄の原料】
 ところで市販のしめ飾りのしめ縄は植物屋目線で見ますと、イグサ、ヤシ繊維、マコモなど稲わら以外のものが使われていることがままあります。こうした手仕事の産物は、東南アジアなどで生産・輸入される場合がありますが、当地にも稲はたくさんあるはずなのにと以前から不思議に思っていました。調べてみると稲わらは稲作にかかる病害虫の移入を防ぐため、植物防疫上の制約(燻蒸、産地証明など)がかなり大きいようで(※1)、コスト高になるのかもしれません。

【変わりゆく世界】
 とはいえ昨今の円安や我が国の国際競争力の推移をみると、「海外の労働力を活用する」というビジネスも過去のものとなり、今後は稲わらでできた国産のしめ飾りも増えてくるかもしれません。そういった変化を是とするか非とするかは、意見が分かれるところかとは思いますが、社会が変化していくことはもはや抗いようがなさそうです。
  2024年も、従来までとは違う社会の動きの多くを目の当たりにした1年でした。2025年も更なる変化の荒波に揉まれそうな予感を抱きつつも、中小企業という小さな舟で渡っていくことにこだわり、強みにしていけるような発想力を磨いて参りたいと思います。

 末筆ながら、皆さまの本年の変わらぬご健勝とご活躍をお祈りいたします。
 本年もどうぞよろしくお願いいたします。

(代表 高木圭子)

※1 よくあるご質問(輸入編)(植物防疫所)
https://www.maff.go.jp/pps/j/business/import/faq/index.html?utm_source=chatgpt.com#Q112