春も深まり、暖かい日々もだんだん増えてきました。今年の厳冬期は都心での降雪も多く、雪国の北海道などですら、大雪による影響を受けるなど、例年にない大変な季節であったのではないでしょうか。そんな中でも、生きものはこの季節の変化で徐々に冬眠から目覚めたり、活発に活動し始めたりと最盛期にむけ動く時期になりました。それに並行して、みなさんも、重い腰を上げながら外へ出る機会が多くなることでしょう。
今回は、そんなみなさんに、身近でも見つかるかもしれない注目してほしい「小さな水辺の生きもの」を紹介したいと思います。
<みなさんイメージにある”水生昆虫”は?>
まず、みなさんはゲンゴロウやアメンボなどの水に棲む昆虫、いわゆる「水生昆虫」をご存知でしょうか。よく、私たちの祖父母や父母の世代で田んぼや池などの水辺が身近にあった人たちには、「昔はよく田んぼなどでみたよ」や「飼ったりしたよ」などという人が多いのではと思います。確かに、これらの水生昆虫は、昔とは異なり最近は人間活動による開発や水辺環境の悪化などにより、日本でも見ることができる地域が少なくなってきました。
しかし、皆さんのイメージしているゲンゴロウやアメンボ、タガメなどは以下の写真のような、大きなものではないでしょうか?
![写真1 みなさんのイメージにあると思われる水生昆虫【ゲンゴロウ(左上)・タガメ(右上)・アメンボ(オオアメンボ、下)】](http://bioindicator.co.jp/blog/wp-content/uploads/2022/03/66e091bc2d19932de79e174ad215915d-1024x724.jpg)
<水辺に棲む水生昆虫の意外な姿>
実は、こういった“大きな”水生昆虫は日本でも一部の種に限られているのです。
「じゃあ、私たちがイメージしている水生昆虫ではなく、大半の“水生昆虫”はどのくらいの大きさなの?」と言われると…
![写真2 サイズイメージ (指に乗っているのはコウチュウの仲間、チュウブホソガムシ)](http://bioindicator.co.jp/blog/wp-content/uploads/2022/03/8169add18e93b0f7c94cd8e7fbe321c5-1024x693.jpg)
お判りでしょうか?わかりやすく皆さんが分かるように中指に乗せた写真をお見せしています。ぜひご自分の指から想像してみてください。
水生昆虫(細かくはコウチュウやカメムシの仲間を中心とした、一生を水に依存する真水生昆虫類)は、大部分の種がこのくらいのサイズなのです。いやー小さいですね(笑)。「眼を凝らしてもわからないよ!笑」と言われるかもしれませんが、何を言われようともこのサイズが大半なので、仕方がありません…
<身近な水辺を覗いてみよう!>
さて、それでは早速今回このブログのことを頭の片隅において、近くの田んぼや公園の池、川の岸際などに出向きましょう。心落ち着けてよく観察してみてください。すると…
![写真3 小さな水生昆虫たちの一部【コツブゲンゴロウ(約4㎜)、チビゲンゴロウ(約2㎜)、ナガレカタビロアメンボ(約2.5㎜)、ヘラコチビミズムシ(約2㎜)】](http://bioindicator.co.jp/blog/wp-content/uploads/2022/03/014cfe2668299a72d0f3addb9bbd26f3-1024x724.jpg)
こんな感じの水生昆虫の、大小さまざまな仲間が観察できてくると思います。先ほど日本でも見ることが少なくなってきたと書きましたが、実は目を凝らすとこれらの種は意外にも都会の水辺や学校の清掃前のプールetc…と身近にいることが多いです。また、大きな水生昆虫よりも色も形も多様であり、見ていて飽きることはないと思います(私見)。
![写真4 川で水生昆虫を凝視する著者(ちなみに専門は淡水魚類)](http://bioindicator.co.jp/blog/wp-content/uploads/2022/03/373697687e8e7f29a5ccb937d90d8363-1024x768.jpg)
探すのはこんな感じで肩が凝りやすいですが、目が慣れるとすぐ見つかるようになります。ぜひ皆さんも2022年はこの小さな世界、“ミクロワールド”に注目してみてください!これからの行楽シーズンでお出かけの際は、お散歩ついでにそっと近くの水辺をのぞいてみてはいかがでしょうか。
今回はほんの一部しか紹介していませんが、水生昆虫の探し方のコツや観察の注意などは以下などを参考にしていただくとよいと思います。
・中島 淳、タガメとゲンゴロウだけじゃない! 超保存版・水生昆虫との出会い方、調べ方
https://buna.info/article/3844/
このブログをきっかけにみなさんの新たな発見につながることを祈念します。
(小動物・水生生物担当 内田大貴)
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