2021年4月に新卒で入社した、植物の技術者1年目の志賀です。先日は雪の中、ヤマネの調査の応援に行ったのですが、植物屋の私は降雪のフィールドに出ることがあまりなかったのでとても新鮮で、冬季は常緑樹が見つけやすいので、ついつい夢中になって観察してしまいました。今回はそのような私が入社1年目を振り返って感じたことをご紹介します。
環境指標生物に入社してからは、大変ではありながらも私が大好きな植物に関わることができた、充実した1年間だと思います。その中でも入社して良かったと思うことは大きく2つあります。
まず1つ目は、現場での実践的な技術を身につけられたことです。入社1年目で担当した植物相調査や毎木調査、移植作業などはいずれも、学生時代にはあまり経験したことがないものでした。しかし、実際に経験することで現場での実践的な技術が身につけられたと思います。特に印象的なのは、あまり経験がなかった植生図の作成に関する技術です。植生図とは植物群落単位で植生の拡がりや分布を示した地図のことで、どの植物群落がどこにあるのか調査し、その境界を線引きすることで作図します。これまでは地表から見ていた植物群落の違いや広がりを、航空写真から読み取る技術を修得しました。ただ写真の色や形といった見た目だけを見ているうちはとても難解でしたが、その場所の地形や気候、地質や土地利用の履歴などを総合的に検討して植生を決めることを先輩方から教わり、より明確に植物群落が見えてきました。このように様々な実践的な技術が身につき、植物調査技術者としての成長を実感することができました。
次に2つ目は、多くの植物種に出会えたことです。入社してから、北は岩手県、山形県から南は京都府まで、12都府県で調査に携わりました。また場所によっては1年間を通して調査することもありました。このように地理的にも季節的にも広い範囲をカバーする必要があったため、様々な植物が観察できて楽しいと思う反面、今までの知識では同定できない植物種が多く、自分の知識不足に対して悔しい思いをすることが多々ありました。特にスゲ属やシダ植物などの今まで同定機会が少なかった植物の同定には苦労しました。しかし、分からない植物が多かったからこそ様々な環境の、様々な季節の植物に出会えました。この1年間の調査で植物の知識が増えたことを実感し、嬉しく思っています。
以上のように入社してからの1年間は、勉強になる非常に充実した1年間でした。2年目からは、1年目で学んだことを活かして信頼される環境調査員になれるよう技術を磨いていきたいと思っています。またそれだけではなく、報連相をきっちり行い、社内外を問わず積極的にコミュニケーションを取ることで、人と生きものをつなぐ仕事にもより貢献していきたいと思います。
(植物担当:志賀)
最近のコメント