2021年、変革と協働へ

明けましておめでとうございます。
健やかに新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。
今年一年の皆さまのご多幸とご健勝をお祈り致します。

カモシカは意外とウシに近い仲間です

カモシカは意外とウシに近い仲間です

2020年、コロナ禍という試練
昨年2020年は、私たち人類にとって試練の年であった、と歴史に刻まれることでしょう。新型コロナウイルスの危機は、経済成長の限界や労働の搾取、富の偏在といった世界の歪みを顕在化させたと言われます。また、国連環境計画(UNEP)と国際畜産研究所(ILRI)が昨年まとめた報告書(※1)によれば、自然環境の劣化が、新型コロナウイルスのような人獣共通感染症の増加に拍車をかけており、私たち人類が今後も同様の脅威にさらされていくことは明らかです。
「脱成長」という言葉が聞かれるように、有限な地球の上で成長を前提とする経済活動はもはや限界にきています。そんな時代に事業を承継した身として、また生物多様性や自然環境の保全を掲げる一企業として、自らの進むべき道を模索した、私達にとってはそんな一年でした。

ヒトだけが健康な世界は成立しない
ところで、当社も会員である一般財団法人日本環境アセスメント協会(JEAS)の会報誌JEASニュースの最新号(※2)では、國學院大學の古沢広祐教授がアフターコロナ時代の展望について、寄稿してくださいました。印象的だったのは、「健康」という考え方を大幅に拡張した「ワンヘルス」「ワンワールド」という概念が紹介されたことです。人間と動物、それを取り巻く環境(生態系、生物多様性)は相互に繋がっていると考え、医学、獣医学、生物学、生態学などの分野横断的な取組によってそれらの包括的な健全性を担保しなければ、人間の健康もまた成り立たないという考え方です(※3)。
我々生きもの屋からすれば「そりゃそうだ」という内容なのですが、それが名前を持った概念として、さらにはアフターコロナの羅針盤として示されているのならば、歓迎しないわけにはいきません。

2021年、求められる変革と協働
このように、自然環境の劣化が現実問題として私たちの社会システムや生活・健康を脅かすに至り、私たちは待ったなしの変革を求められていると言えそうです。それは、事業活動の在り方然り、生物多様性保全の在り方然りです。とくに、生きもの屋を自負する私たちは少なくとも環境、生物多様性保全の分野で先陣を切る使命がありますし、異なる分野の同様の立場の方々との協働が必要です。
本質を見据え、先入観から自由になり、従来の事業活動や技術の枠にとらわれることなく、変化を恐れずに決断することで、2020年の試練を力に変えていけたら、そんなふうに思っています。

(代表 高木圭子)

※1 Unite human, animal and environmental health to prevent the next pandemic – UN Report(UNEP)
https://www.unenvironment.org/news-and-stories/press-release/unite-human-animal-and-environmental-health-prevent-next-pandemic-un

※2 JEAS News会報誌 最新号(日本環境アセスメント協会)
https://jeas.org/magazine1/

※3 「マンハッタン原則」の12の行動原則(地球・人間環境フォーラム)
https://www.gef.or.jp/globalnet202007/globalnet202007-14/