令和3年の新しいカレンダー

嵐のようだった2020年も気がつけば12月に入り、毎年各方面にお贈りしている当社のカレンダーが今年も刷り上がりました。と言っても今年は、昨年までと大きく趣向が変ったものになりました。
これまで当社のカレンダーは、出版社と共同で、それなりに力を入れて企画・制作していたものです。月ごとに、その道の写真家ならではの表情豊かな野生動植物の写真を、生きもの屋目線で選び、下半分はスケジュール等を書き込みやすいよう広めに覧を設けつつ、各地の紅葉や初雪の時期などを記入してあります。季節の移り変わりを実感しやすいところが好評で、楽しみにして下さっている方も多いと思います。しかし、代替わりに伴いその継続ができなくなりました。

【新しい体制にふさわしいカレンダーとは】
そもそも、スマホなどデジタルツールでのスケジュール管理が主流化しつつある昨今、依然として多くの会社が大量の資源やエネルギーを使って、需要を上回るカレンダーを競い合うように配る現状を思うと、いやしくも環境を冠する企業として、カレンダーを配ること自体の是非も気にかかります。さりとて、楽しみにして下さる方もいます。またいっぽう、コロナ禍により、これまでの価値観の多くが転換を迫られている状況もあります。
このような状況を踏まえ、新しい体制、新しい時代にふさわしいカレンダーとして、心に止まったのが、NPO法人棚田ネットワーク様が毎年販売されている「旧暦棚田ごよみ」でした(※1)。今回、棚田ネットワーク様のご厚意で、社名を入れて分けて頂くことができました。

カレンダー

【棚田も暦も、人と自然のつながりから生まれた】
このカレンダーは、旧暦表示を基本としていて、四季折々の棚田の風景と、月の満ち欠け、二十四節気、七十二候、雑節といった、昔ながらの日本の暦が記載されています。棚田の風景も、生きものが絡んだ旧来の暦も、日本人が自然とともに作り上げた文化の遺産であると言えます。人と生きものの架け橋を目指す当社にとって、これ以上のテーマがあるでしょうか。

【「スケジュール」から離れて時を刻む暦へ】
いっぽう、このカレンダーにはスケジュールを書き込むスペースがほとんどありません。さらに驚くべきことに、旧暦区切りでページが切り替わるので、現在の暦では月の途中でめくることになります。言ってみれば、ほとんどカレンダーの本来的機能を放棄したような仕様です。このため、お仕事のお供としては力不足を通り越し、失格と言わざるを得ません。
ただ、そういったカレンダーは多くの企業さんがよいものをたくさん配っているので、そちらを有効に活用していただき、このカレンダーはお仕事を離れてほっとひと息つくお時間のお供にしていただければと思います。たとえばお手洗いやご自宅の居間、寝室などに架けて頂ければな、と考えています。そういった時間にふと、季節の移ろいや生きものの暦に思いを馳せるお手伝いになれば本望です。
さらに言えば、日々の経済活動中心の暮らしから少し軸をずらして、自然や生きものの息吹、それらと共に暮らしを組み立ててきた私たちの祖先を思う時間を意識的に持つことは、いわゆるウィズコロナ、アフターコロナと言われる世界を、持続可能にするために有効であると信じています。
これまで当社のカレンダーをお仕事のお供に重用して下さった皆さまには、大変申し訳ない気持ちもありますが、どうか温かい気持ちでご笑覧ください。

(代表 高木圭子)

※1 令和三年旧暦棚田ごよみ(棚田ネットワーク)
https://tanada.or.jp/tanada_goyomi/