日本では緑色のことを青という。
「目には青葉、山ほととぎす、初がつお」この句のように、新緑も青葉といいますね。
信号も緑色なのに青信号、野菜も緑色なのに青菜と呼びます。
これは古来の「青」という概念には緑色も含まれていたことに因んでいるようです。
緑色のカエルのことを青蛙とも言います。しかし、紛らわしいことにアオガエル科ではない緑色のカエルもいます。
他の調査員や、地元の方に「緑色のカエルをみたよ。」と情報をもらっても、困ってしまう時があります。
雨の多いこの時期、カエルを見かけることも増えてきました。そこで今回は緑色のカエルについて整理してみましょう。
最も個体数が多く、人目に付きやすいのは、ニホンアマガエル(アマガエル科)。大きさは3~4cmほど。
水田の周りに生息しているので、一度はみたことがあると思います。特徴は耳から目と鼻にかけて黒い筋があることです。
続いて、シュレーゲルアオガエル(アオガエル科)。大きさは4~5cmほど。
体の大きさや色、指先に吸盤があるなど特徴がニホンアマガエルと似ており、よく間違われますが、こちらは目と鼻の間に黒い筋はありません。希に背中に黄色い小斑点が入る個体もいます。
このシュレーゲルアオガエルを一回り大きくしたのが、モリアオガエル(アオガエル科)です。大きさは5~8cmほど。
おもに樹林に囲まれた池などに生息し、樹上に泡状の卵塊を産み付けることで有名ですが、水田などでも時々産卵します。
黒目の周りの虹彩という部分が、赤みがかっているのが特徴です。よく木に登るため、腕が太く吸盤も大きいです。
体色は地域などによって差が大きく、全身に褐色の斑紋が入る個体もいます。
その他、基本は褐色系のアカガエルの仲間でも個体によっては緑色にみえるカエルがいます。
トウキョウダルマガエル(アカガエル科)。大きさは4~8cmほどで、おもに関東周辺に分布しています。
トノサマガエル(アカガエル科)。大きさは4~9cmほどで、関東平野以外の本州に広く分布しています。
これらのカエルは水田や池、水路近くの草むらなどにいて、近づくとすぐに水に飛び込んで逃げるので、姿がよく見えず「緑色だった!」という印象だけが残りやすい種類です。
一方、ニホンアマガエル、シュレーゲルアオガエル、モリアオガエルの3種類は、日中は葉っぱの上や枝先でじっとしていることが多いので、みかけた環境や状況なども、カエルの種類を調べるうえで大事な情報になってきます。
あなたの周りの緑のカエルは本当に青蛙?それとも・・・。
両生類・爬虫類、哺乳類担当 釣谷洋輔
最近のコメント