今日は海の日

今日(7/16)は海の日ということで、たまには海の生きものを紹介します。

写真は、ネズミザメ目オオワニザメ科に属するシロワニというサメの仲間で、全長3mにもなります。今から10年ほど前、小笠原の海で撮影しました。

シロワニは、黄海、中国東シナ海沿岸、台湾、中央・東太平洋を除く全世界の温帯~熱帯域に分布し、日本では小笠原諸島などで見られます。強面な見た目どおり肉食性で、魚類、甲殻類、頭足類などを食べます。また、シロワニは胎生で卵ではなく子どもを直に産みますが、子宮内で子ども同士が共食いをするというなんとも恐ろしげな習性を持っています。

しかし、強面の見た目や共食いといった習性から連想するイメージとはだいぶ異なり、実は大変おとなしく、人を襲うことはめったにありません。このため、コンスタントに見られる小笠原ではこれを目当てに多くのダイバーが訪れるポイントがあり、生態系サービスの役割を立派に担っています。

シロワニ

そんなシロワニですが、2017年3月に新しく公表された環境省版海洋生物レッドリストによると、日本産板鰓類(サメ・エイ類)の中で最も絶滅のリスクが高い、絶滅危惧IB類(近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの)と評価されています。繁殖力が弱いこと(前述のとおり子どもが共食いをする!)に加え、生息地の分断や出現範囲が限られていることなどにより、個体数の減少が懸念されているようです。

海は、河川や湖沼と違って環境の変化を感じにくいですが、地球温暖化に伴う海水温の上昇や海水の酸性化、埋め立てなど沿岸域の開発、化学物質やマイクロプラスチックによる汚染、乱獲による漁業資源の減少など、様々な問題が起きています。

海の環境を守るため、プラスチック製品をなるべく使わないようにする、MSC認証などエコラベルのついた商品を購入する、海に入るときは日焼け止めを使わない(ていうかもともと使ったことがない!)などなど、微力ながら海の環境に配慮した生活を心がけたいと今日の海の日に改めて思いました。数日後には土用の丑の日がやってきますが、絶滅危惧種のウナギを食べるのもしばらく我慢しようかな。(どのみち高くて食べられません。。。)

(水生生物担当:Kawaguchi)