新年明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いします。
年頭にふさわしいに気の利いた話が思い浮かびませんので、最近リニューアルした会社パンフレットの話をさせてもらいます。
暮れも押し迫った12月26日に、半年がかりで制作に取り組んでいた会社のパンフレットが納品されました。わずか半年前のことなのに記憶が曖昧なのはたぶん老齢のせいですが、たしか昨年の梅雨前に着手したように覚えています。旧版のパンフレットの制作を委託した自然デザイン研究所の高畠雅晴さんにお声掛けをして、制作の打ち合わせが始まりました。当初は完成を10月初めに設定していたのですが、新パンフレットのコンセプトがなかなか定まらず、まったく想定外の時間を要してしまいました。
恥ずかしい話になりますが、これまで使っていたパンフレットは、もう20年以上前に作った旧版にマイナーチェンジを加えてきたもので、デザインは別にして、そこに書いてある内容は時代遅れもよいところでした。それもあって、積極的にお客さんにお渡しすることもなく、当社には紙媒体のパンフレットは存在しないという暗黙の了解が社内の申し合わせでもありました。いまはホームページがあるので、紙媒体のパンフレットが活躍する時代でないことは確かにあるかもしれません。それでもときどき、たいがいは新規のお客さんを前にしたときに、何もお渡しするものがないというのは、間の持ちようがないこともあります。いつかやらねばという思いは、ここ数年続いていました。
完成した新パンフレットとはどれほどのものかというと、A3判見開きの、ページ数にして4ページという実に簡素なデザインであります。表紙・裏表紙2ページは旧版のリメイクで、ちょっと見た目にはどこが違うかわかりません。それだけでやる気のなさが感じられますが、実は旧版のこのデザインがとても気に入っていて、これだけは残したいという強い思いがありました。たくさん配置されている生き物の絵は、松本剛さんの手によるものです。その表紙を開くと、原色の里山の風景がA3判の大きさでバーンと展開します。もうただそれだけです。この風景画は、増田庄一郎さんに何回も描き直しをお願いして、仕上げてもらいました。
パンフレットのデザインイは残暑の頃にはほぼ固まっていました。デザイナー(高畠さん)と上記のお二人の画家と4人での打ち合わせになってから、ビジュアル先行で話がまとまり、私にも完成形がおぼろげながら見えてきました。ところで、コンセプトが決まらなかったと冒頭で書きましたが、実はこの時点でもかなり怪しげな状態でした。しかしそれも、打ち合わせ中に私が口にした「自然には価値がある」という台詞に、高畠さんがこだわりをもたれ、私になにかキャッチコピーを書いてくれと言われてから、急速に進展することになりました。
新パンフレットの主テーマは「自然には価値がある」ということになります。4つのキャッチコピーは「人は自然そのものだ」「コンクリートの築城」「生命は世代をつなぐ」「自然の恵みとは何か」です。あまり難しい言葉は使いたくないし、むしろ平凡すぎるくらいにしようと心がけました。コピーの作文は書いては消しの繰り返しで、1週間くらい暖めていました。このような一種キワモノのパンフレットを作ってはたして良かったのか、あとは皆様方にご判断を仰ぐしかありません。
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