冬になると、植物の現地調査は少なくなり、データ整理や報告書作成など、パソコンの前でじっくり作業することが多くなります。
そんななか、久しぶりに千葉の郊外で現地調査があり、とても楽しみにしていたところ、「この冬いちばんの寒さ」の日に当たってしまいました。
霜が降りて、顔面が凍りつきそうになりながら、「ついてないなあ・・」と、自転車を走らせていると、朝日に照らされた、美しいフワフワを発見しました。
霜の溶けた水滴がきらきらと光って宝石のよう。
「キラキラ×フワフワ」は、女の子が大好きな最強コラボレーション!(と思うのは私だけではないはず・・)
こんな風景は、朝早く起きて、霜が降りているからこそ出会えるもの。新宿・神楽坂のオフィス周辺では、まずお目にかかれません。
「やったね!ラッキー」とばかりに、下がり気味のテンションが再び上がるのでした。
ちなみに、このフワフワの正体は、チガヤというイネ科植物の穂(花序)です。(もう種になっています)
通常ならば、初夏に開花・結実し、青々とした風景の中で銀色の穂を揺らすのですが、このチガヤは、おそらく秋の草刈りが引き金となって、こんな時期に開花してしまったのでしょう。
こうした時期はずれの開花を、「狂い咲き」といいます。花芽が準備できている時期に、葉を切り取られると、慌てて葉を出そうとして、一緒に準備されていた花も同時に咲かせてしまうのです。ツツジやサクラなどでもよく見られる現象です。虫に葉を食い尽くされるほか、人間が葉を取ってしまうのも原因なので、「狂い」なんて失礼だけど、ぴったりな表現だなあ、なんて思っています。
(中村麻祐子)
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