秋探し

秋の深まりを感じるには、人それぞれの感受性がある。景色であったり、食べものであったり、香りや肌で感じるものもある。

今秋、仕事の一環で、都内の多摩川水系秋川の上流に行ったときのこと。渓谷の近くを散策しながら、動物のフィールドサインや生息環境を確認していると、ふと葛の枯葉の中に気配を感じた。

まるまった布団のような枯葉をそっと広げると、小さな毛むくじゃらのコウモリの姿があった。コテングコウモリである。晩秋になり植物の葉が枯れてくると、昼間のねぐらとして潜り込むのだ。

これまでの調査経験から、東北地方や中部地方、北関東の山間部では確認したことがあったが、都内では初めて目にした。

こんな発見で秋の深まりを感じるようになって、どれくらい時間が経つのだろう。苦笑いしながら、コウモリを起こさないように静かにシャッターを切った。

(両生類・爬虫類、哺乳類担当 釣谷洋輔)

コテングコウモリ

コテングコウモリ